ハンス・ジマー ライブ・イン・プラハ

「ラジオスターの悲劇」から「映画音楽の王様(キング)」へ。美女軍団を従えてプログレ王ハンス・ジマー降臨!

Hans Zimmer: Live in Prague
2017年 イギリス カラー 137分 Eagle Rock Entertainment Netflixで配信中
監督:ティム・ヴァン・ソメレン  
出演:ハンス・ジマー、ジョニー・マー、ティナ・グオ、ルサンダ・パンフィニ、チェコ・ナショナル交響楽団+合唱団

 2016年、チェコ・プラハのO2アリーナで行われたハンス・ジマーのコンサートのライブ。O2って、ロンドンだけじゃなくて、プラハにもあったんだ。海外では普通にブルーレイで発売されているようだが、日本ではなぜかNetflix配信。資料には150分とあるけど、配信は137分版。なにかカットされてるのかな……でもまあ、137分で十分お腹いっぱいだ。

 ドイツ系60歳のおっさんハンス・ジマー はサービス満点、指揮をするのではなくプレイヤーのひとりとして、ギター(アコースティック&エレキ)、バンジョー、ピアノ、キーボードなどを演奏しながら、英語で曲やメンバー紹介トークもしてくれる。チェコ・ナショナル交響楽団+合唱団もそろい踏みなのだが、いわゆる映画音楽のコンサートというよりも、ほとんどというか完全にロック・コンサートで、プログレみたいな照明・演出・編曲からして、ピンク・フロイドやジェネシスあたりのライブに近い。真面目な映画音楽愛好家は腰を抜かしちゃうんじゃないだろうか。さらに、ジマーの交友関係なんて知らなかった人には、意外性のあるゲストも楽しめる。

 そもそもジマーは、70年代にイギリスでバグルズの裏方として大ヒット曲「ラジオスターの悲劇」に参加、元ウルトラヴォックス!のドラマーとユニットを組んで、「第2のデヴィッド・ボウイ」と言われたザイン・グリフとも一緒にやっていたという経歴がある。いわゆるニュー・ロマンティック路線だったわけで、今のおっさんぶりを見るとおかしいが、同じ元ニューロマ&Netflixスターのリッキー・ジャーヴェイスと同じようなもんだろうか。そういえば、バグルズってイエスと合体してたくらいだから、下地は似たようなものなんだろう。
 
 ジマーの解説トークに字幕はあるが、曲名表示もエンドクレジットも出てこないので、一応セットリストを挙げておく。

1「ドライビング Miss デイジー」「シャーロック・ホームズ」「マダガスカル」〜メドレー
2「クリムゾン・タイド」「天使と悪魔」〜メドレー
3「グラディエーター」
4「ダ・ヴィンチ・コード」
5「ライオン・キング」
6「パイレーツ・オブ・カリビアン」
7「トゥル―・ロマンス」 
8「レインマン」
9「マン・オブ・スティール」
10「シン・レッド・ライン」 
11「アメイジング・スパイダーマン2」
12「ダークナイト」トリロジー
13「オーロラ」
14「インターステラー」
15「インセプション」

 
 13は『ダークナイト』上映館で起きた銃乱射時事件に捧げられた曲。「バックドラフト」「ラストサムライ」「ザ・ロック」「ブラック・レイン」あたりもやればいいのに、と思ったりするが、まあ同じと言えば同じか。観客に大うけなのはやはり「ライオン・キング」「パイレーツ・オブ・カリビアン」だが、「ドライビング Miss デイジー」や「トゥル―・ロマンス」みたいな小編成演奏の佳曲が印象に残る。クライマックスの「インターステラー」と「インセプション」は、まさにプログレ超大作。曲間、歓声に包まれる暗闇の中から巨大豚風船(ピンクフロイドのシンボル!)が登場するんじゃないかと思ったくらいだ。

 ビジュアル的に楽しいのは、バイオリン、チェロ、パーカッション、エレキベースに黒レザー衣装のエロいミニスカ美女をずらりと揃えているところ(どうみてもおっさんジマーの趣味&指示に違いない!)。エレキ・チェロの中国人ティナ・グロ、長身の東洋×南洋美女アン・マリー・シンプソンもいいが、「ダ・ヴィンチ・コード」でソロバイオリンを奏でるモルドヴァ生まれの東欧美女ルサンダ・パンフィニが美しい(ロケット乳だし!)。ただ、せっかくの見せ場なのに照明がピンク・フロイドの「ラン・ライク・ヘル」みたい(足元で回転する白色フラッシュ照明!)でせっかくの美女そろい踏みが台無しになっていたのは残念でした。
 インキュバスのマイケル・アイジンガーがギターで参加しているが、後半に加わるのはなぜかザ・スミスのジョニー・マー。クライマックスは、ジマーと仲良さそうにフェンダー・ジャガーを鳴らし続けている。バグルズとザ・スミスが21世紀に共演するなんて、あの頃誰も思ってなかっただろうなあ。
 ケーナとか、パーカッションやコーラスの入り方とか、どこかエンニオ・モリコーネの「ミッション」を想わせるなあと思ったら、なんでもジマーはレオーネ×モリコーネ『ウエスタン』を観て(聴いて)映画音楽を志したそうだ。「世界一ギャラが高い映画音楽作曲家」(一時ハリウッドでそう言われていた)となって、大作ばかりを手がけてきたハンス・ジマーは超大金持ちになったかもしれないが、モリコーネほどバラエティに富んだ曲を作るチャンスは得られなかったようだ。それでも、ジマーの映画音楽作曲家からロックスターへ急旋回という前代未聞の逆転人生は大成功したといっていいだろう(エロ美女軍団はジマーの圧勝だ)。
 ところで、なんで日本公演なかったんの?

by 無用ノ介

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