IQ160清掃員モルガンは捜査コンサルタント シーズン2
こんなエモーショナルな縦糸ストーリーかよ！
2022年 フランス カラーHD 52分 全8話 TF1 AXNミステリーで放映
クリエイター：ステファーヌ・カリー、ニコラス・ジャン、アリス・チェガレイ＝ブルーグノ 監督：ヴィンセント・ジャーメイン、モナ・アシャーシュ、ジャン＝クリストフ・デルピアス、ジブリル・グリッサンほか
出演：オドレイ・フルーロ、マリー・ドナルノー、メーディ・ネブー、スプリアン・ガーデン、ブリュノ・サッシェ、クロティルド・エスム ほか
シーズン1は拾い物だと思ったのだが、シーズン2でも全然失速しない！なんだ、こりゃあ。面白いぞ！いやいや、Netflixさんがどーんと予算を出した「ルパン」や「その日がやってくる」の出来がアメリカナイズされていて面白いのはわかる。しかし、フランスのメジャー地上波局のドラマが、ここまで面白いと、近年フランス発のドラマの質が向上してきているか？と思わざるを得ない。
歴史あるフランス映画の叙情性や実験性は微塵も感じられないが、ドラマとしても手抜きがなくテンポも十分だ。
IQが160もあり、一度見たものを全て記憶してしまう「カメラアイ」（瞬間記憶）の持ち主でもある主人公のモルガン（オドレイ・フルーロ）は、明らかにADHDで自分の生活をまともにコントロールすることができない。美人だが、38歳ですでに3人の子持ち。最初の夫ローランは、若くして行方不明に。優しいが物足りないタクシー運転手のルド（セドリック・シェヴァルメ）とは、くっついたり離れたりを繰り返す。
清掃員のアルバイトをしていたモルガンは、前シーズンで警察の掃除をしながらつい謎解きをしてしまい、その能力を買われてリール署の重大犯罪班で、民間人コンサルタントとして捜査を手伝うことになった。（シーズン1の1話以来、モルガンは一度も「清掃員」には戻っていないのだが、タイトルはずっと清掃員だ！：笑）
犯罪捜査は、前シーズン同様1話完結で進んで行くのだが、今回は縦糸のストーリーがずっとエモーショになっている。
シーズン1は、どちらかといえば子供を抱えたモルガンの私生活のドタバタと、コンビを組むカラデック警視（メーディ・ネブー）とのほのかなロマンス程度だった話が、今回はルドとよりを戻して子供達を育てていた借家の梁が崩れ落ちて、家を失う羽目に。
子供連れたまま、同僚のジル（ブリュノ・サッシェ）の家へ退避して、ルドとはついに家を買う決心をするのだが、思った通り、モルガンは土壇場でその決心が揺らぐ・・。当然、頭にきたルドとは再び別居。
その一方でカラデックは、前シーズンの事件でモルガンを心配して発砲したことで監査官に調査を受けることに。なんとか、監査はうまくすり抜けたが、今度は美人監査官ロクサーヌ（クロティルド・エスム）がカラデックを気に入り2人は付き合うことに・・。モルガンは、どーもそれが面白くない。
それにしても、カラデックはこんなに明るいキャラだったっか！？？
ロクサーヌの監査は、カラデックからモルガンの行動の問題点を指摘することに発展し、モルガンは再教育官であるルノルマン（ジャン＝ミシェル・ラーミ）の元で、再教育プログラムを受けることになるのだが、ルノルマンを丸め込んで、逆に事件の捜査に巻き込むことに。このルノルマンとのやり取りも、傑作だ。
カラデックに対するモルガンの微妙な気持ちも描かれる一方で、最終回ではすっかり忘れていた、行方不明の最初の夫、ローマン（ニコラス・ベイジン、回想シーン：ゼイビア・ホステン）の名前が登場！その人、「病死」ってことで納得してたんじゃなかったっけ！
ローマンの失踪については、モルガンにとって残酷な真相が明かされることになってしまうのだ！
しかも、最後にはカラデックと意味深すぎるほど見つめ合う、尻切れトンボなエンディング！！うーん、これは見覚えがあるぞ！まさか！やっぱり！シーズン3に続くなのでした・・・。
本シーズンはモルガンの可愛い子供達、テオ（スプリアン・ガーデン）やエリオット（ネオ・ヴァンデボーテ）の出番が少ないのが少々残念だが、最終回には、これまで謎だった驚きの人物が登場する。
モルガンが母親アグニス（ミシェール・モレッティ）とぎくしゃくした関係であることは、シーズン1から描かれるているが、辛辣ではあるがごく普通な知能の母親の遺伝で、モルガンがああなったように見えないだろう。
ところが最終回では、今まで一度も話題にすら登ったことがなかった父親セルジュ（パトリック・シェネ）が登場するのだ！期待通りIQ160の困ったじいさん登場である。（笑）
シーズン3は、フランス／ベルギーで5月から放映が決定してるようだ。
By 寅松