海外ドラマ

警視ファン・デル・ファルク アムステルダムの事件簿 シーズン3

完全に原作とは無関係のドラマに成長?しかし、オランダらしさは増強か?

Van der Valk
2023年 イギリス カラーHD  105分 全3話 Company Pictures NL Film & TV / ITV AXNミステリーで放映
原作:ニコラス・フリーリング クリエイター:クリス・マーレイ 監督:マキール・ヴァン・ヤースベルト、シモーヌ・ヴァン・デュッセルドルプ、アルネ・トーネ
出演:マーク・ウォーレン、メイミー・マッコイ、エマ・フィールディング、ダレル・ドゥシルバ、アザン・アーメド、ジャンゴ・チャン・リーヴス、ルス・ハーフェコート ほか

 イギリス人作家による古臭いオランダ舞台のミステリーが、シリーズ3ではもはやオリジナルの鱗片もなく現代ドラマに!運河の街アムステルダムで、ボロ船に一人で暮らす偏屈男ながら、見た目は結構若いファンデル・ファルク警視(ウォーレン)と、その仲間、やばいレズビアン、呑んだくれ、おばさま上司などの話ではある。今シーズンは、前シーズンまでいた、調べ物には頼りになるクルーバス(エリオット・バーンズ・ウォーレル)と、女に弱いブラ・デ・ブレス(アレン=ゲール)が抜けて、代わりに2人の刑事がチームに加わる。
 一人は、正式に配属された中東系のエディ・スルマン巡査(アザン・アーメド)。もう一人のリー巡査(ジャンゴ・チャン・リーヴス)は、アジア系で交通課ながら見所があるので、なんとなくこのチームににじり寄って、ダールマン本部長(エマ・フィールディング)と監察医ヘンドリック(ドゥシルバ)の後押しでチームに加わったかんじ。

 物語の方は、「アムステルダムの自由」<Freedom in Amsterdam>、「アムステルダムの償い」<Redemption in Amsterdam>、「アムステルダムの魔術」< Magic in Amsterdam>の3本だが、今回はそれぞれ監督が全部違うので、雰囲気もバラバラである。

 「アムステルダムの自由」は、フランスのパルクール競技に進化させたような、「フリーランニング」というアクロバティック競技の天才選手が殺される事件。脅されて無理強いされた、殺される前の奇妙な行動が、実は麻薬の強奪に関わっていたという展開。この回で、ファン・デル・ファルクはシーズン2で結婚まで考えたのに、実は「他の男と結婚する・・」という残忍な答えで去っていった、美人外科医レナ(ルス・ハーフェコート)と再会することになる。

 「アムステルダムの償い」は、博物館の学芸員をしていた男が殺され、当初は植民地時代に持ち去られた被植民地の美術品を本国に返還するべきか、しないべきかという論争と関係があるかと思わせるが、実は学芸員の素性が分かると、過去の小児殺傷事件に関わりがあったことがわかってくる。
 この事件は、ファン・デル・ファルク自身も関係があり、裁判では殺された小児たちの姉が有罪となったが、今もその結論には疑問を抱いているのだった。殺された学芸員は、当時少年で、この事件の判決の根拠となった重要な証言をしていた。ファンデル・ファルクらは、出所後、名前を変えて生活している元被告の女性を探し出すことになる。

 「アムステルダムの魔術」は、黒魔術系の集会で男が死んだ事件。ヨーロッパモノにありがちなホラー要素サスペンスかと見せかけて、実はその背後に、魔術に傾倒した精神科医と脳科学者が起こした医療過誤の犠牲となり、トータリー・ロックドイン(TLS:ロックトイン症候群)の状態のまま生かされている女性の存在があることがわかってくる。
 また、この事件で鍵を、ボートに返しに来ていたレナとファン・デル・ファルクは、ともに犯人に捕まり人質に・・。危機一髪で事件を解決した後に、2人の交際も再スタートという、お約束的おまけもついてくるぞ。

 本シーズンで加わった2人のキャラクターについては、性格の違いについてはわかるものの、本格的には掘り下げられていない。ただ、リー巡査については、監察医ヘンドリックは昔から知っていることになっており、その両親が一度に亡くなったという事実が語られているので、この先シーズンが続けばその過去の物語も出てくる予感はある。

 先に2つのシーズンでは、それぞれ大きな見せ場があったルシエンヌと、ダールマン本部長の活躍は控えめだが、今回はヘンドリックが、毎回結構活躍するのもおかしい。順番なんだろう。(笑)

 最後には、捜査チーム+レナで記念撮影まで撮っちゃって、いい雰囲気ではあるが・・果たしてシーズン4まで続くつもりなのか??

シーズン1の評はこちら>>
シーズン2の評はこちら>>

By 寅松