海外ドラマ

IQ160清掃員モルガンは捜査コンサルタント シーズン3

シーズン3は、8話を通してモルガンとカラデックの恋のドタバタ全開!

HPI: Haut Potentiel Intellectuel (H.I.P. High Intellectual Potential)
2023年 フランス カラーHD 52分 全8話 TF1 AXNミステリーで放映
クリエイター:ステファーヌ・カリー、ニコラス・ジャン、アリス・チェガレイ=ブルーグノ 監督:ヴィンセント・ジャーメイン、モナ・アシャーシュ、ジブリル・グリッサン
出演:オドレイ・フルーロ、マリー・ドナルノー、メーディ・ネブー、スプリアン・ガーデン、ブリュノ・サッシェ、クロティルド・エスム、ジェレミー・ルーウィン、パトリック・シェネ ほか

 スピード感も相変わらず、楽しく見られるが、本シーズンでは各話の犯罪が、以前より凝った内容で、最終的な犯人も随分とひねってある。
 フランスドラマでは特に、謎解きを捻り過ぎて、犯人が「こりゃないだろ〜!」というパターンも多いのだが、モルガンの今シリーズについては、意外な犯人像や、犯行の動機についても、そこそこ考えてあって、好感が持てる。結構、感動させる犯罪も多い。
 その意味では、脚本チームが頑張っていると思われる。

 しかし、シーズン3を通じて縦糸となる話は、シーズン2の最後に見つめあったモルガン(オドレイ・フルーロ)とカラデック(メーディ・ネブー)の関係の進展なのだが、こっちは、ドタバタコメディーぶりが激しい。
 ま、モルガンの性格だと、こうなってしまうのも致し方ないが・・・。
 カラデックは、モルガンのことを気にかけながらも、一方でロクサーヌ(クロティルド・エスム)との関係も順調で、深みにはまりつつある。
 それが気に入らないモルガンは、新しく捜査チームに雇われたティモテ(ジェレミー・ルーウィン)と深い仲になってしまったり、第5話(Froid de Canard)で、被害者アデルを殺した容疑者としてカラデックが取り調べるアデルの元恋人、服役していた犯罪組織の元メンバーのダヴィド(ラッパーのドゥードゥー・マスタが演じている)と衝動的に寝てしまったして、大混乱に!
 この無軌道ぶりで、逆にモルガンのことを思っている自分に気づいたカラデックがロクサーヌに別れを告げるのは、まさにコメディーだ。
 今シーズンは、モルガン&カラデックの他に、これまで性格が正反対で天敵どうしだったチーム長のセリーヌ(マリー・ドナルノー)と検事のピエール(ニコラス・マルティネス)がなぜか恋愛関係に発展してしまうのも、まさにコメディタッチ。
 オタクのダフネ(ベランジェール・マクニーズ)とジル(ブリュノ・サンシェ)だけは相変わらず、和ませてくれる。

 シーズン2の最後に、失踪した夫が生きていて、自分と娘を捨てたことを知ってショックを受けたモルガンに、カラデックはとっさにキスをする。しかし、帰りの車の中では「さっきのは、なんの意味もないんだ」とそそくさと否定されてしまったことに、モルガンは二重に傷ついている。
 だから、あれ以来リール・DIPJ(重大犯罪班)の仕事も放り出して、シーズン3の頭では久しぶりに、日本語タイトル通りの「清掃員」に戻っているが、もちろんうまくいくはずもない。
 一方、DIPJチームの方も、検挙率がだだ下がりで皆(モルガンにはいつも迷惑しているダフネ以外は・・)がモルガンを恋しがる事態に。新しく捜査員を補充する目的で、FBIの研修も受けたというティモテが配属されるが、捜査官としては全く役に立たない。
 そんなとき、清掃の仕事先の主婦、エミリーが誰かに狙われていると、匿名の電話がジル宛にかかってくる。カラデックは、それがモルガンだと気づくが・・・、エミリーは殺されて、その遺体が埋められている場所を発見したのが、これも間の悪いことにモルガンだった。
 モルガンは、エミリーの腕輪をくすねていたことで、犯人であると認定され刑務所に。心配して面会に来たカラデックには、「なんとかなる」と強がるが、実際は大ピンチ。しかし、仲良くなった刑務所の女囚たちの情報網と推理で、モルガンは事件の真相と犯人に近づいて行く!
 最初2話分で、ようやく真犯人を突き止めて刑務所から出られたモルガンは、DIPJのチームに復帰。ティモテ配属により予算がけずられて、給与が30%カットとなるものの、また犯罪の謎解きをする生活が始まるのだが、私生活の方は相変わらず問題だらけ。アンリ(ルーファス)が貸してくれている古いアパルトマンは、あちこちが壊れて、その上、電気、水道も止められていたのだ。
 しかし、ある事件でモルガンを臨時で警護することになったティモテは、警護の役には立たないが、掃除は完璧、水漏れする皿洗も機を修繕、料理も素晴らしく、子供達は大喜びで、最近成長したテオは、「もう一度寝てあげなよ!嫌なら、私が寝る・・」なんて言い出す始末だ。
 事件の方は、父親に厳しく音楽を禁じられている、イスラム系の女子高生が殺されて、実はネットで人気が沸騰しつつあるラッパー/シンガーだった事件。
 殺されたあくどい経営コンサルタントが、実はエセ新興宗教にはまり改心していたという皮肉な事件。
 8歳の子供のいる水泳のインストラクターが殺されるが、その女性は自分の恋人とその犯罪組織を警察に売って証人保護を受けていたことがわかる事件。
 医大の講堂で、女子医大生が殺されるが、実は20年前にも同じようにその大学に通っていて、全く変わりがない。彼女は吸血鬼だ!という奇妙な証言が出でてくる事件などなど。
 それぞれに捻りもあるが、それだけでなく犯人の動機や、悲しい秘密などがきめ細かく設定されていて出来が良い。

 そして、やっぱり思った通り最後の2話分では、前シーズンの最後の登場したモルガンの実の父親で詐欺師のセルジュ(パトリック・シェネ)が登場して、アルヴァロ家ごと最大の危機に見舞われる!
 この1件があって、カラデックは毎度のことながらモルガンに呆れ果てて去ってゆくのだが・・・、最後の最後にはさらにシーズン4に続く火種が登場するのでした。(笑)

By 寅松


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