海外ドラマ

アストリッドとラファエル 文書係の事件録 シーズン4

レベルは高いものの、マンネリ感は否めず、ちょっとシーズン続けすぎか!

Astrid et Raphaëlle Season4
2023年 フランス、ベルギー カラー2:1 52分 全8話  JLA Productions / France 2 AXNミステリーにて放映
クリエイター:アレクサンドル・ド・セガン、ローラン・ブルタン 監督:フランシス・リッケリンク、コリーヌ・ベルジュ
出演:サラ・モーテンセン、ローラ・ドヴェール、ベノワ・ミシェル、ジェン=ルイ・ガルソン、ウスキ・キアル、ジャン=ベノワ・スーリエ、ウスキ・キアル、サイトウ・ケンゴ、ヴァレリー・カプリスキー、ソフィア・ヤムナ ほか

 本国でも視聴率が高く、シーズン4まで続いている人気シリーズ。フランス犯罪資料局に勤務する自閉症局員のアストリッドと、ひらめきで行動し、怖いもの知らずながら、物事を整理することができない行動派のラファエル警視のコンビが事件を解決する。
 大ヒットした韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(2022)に先立って、自閉症の主人公を正面から取り上げた、自閉症スペクトムもののパイオニア作でもある。
 
 シーズン3の最後に、アストリッドを指導していた、司法警察アカデミーの教官アンヌ・ラングレーは、亡くなった父アンギュスの恋人であり、さらに犯罪組織から脅されて協力した罪を認めて服役するとになる。
 本シーズンでは、そのため親と離れ離れになった、アンギュスとアンヌの息子(アストリッドの腹違いの弟)であるニルス(ハンディ・ゲディオ)とアストリッドは、交流することに・・。初めて子供の面倒を見るという事態に陥る、アストリッドが描かれる。
 さらに、テツオ(サイトウ・ケンゴ)との奥ゆかしいロマンスは、テツオがアストリッドに勧めた囲碁を通して緩やかに進む。最終回に、アストリッドは、テツオを自宅に泊めて夜を明かす決心をするのだが・・・。
 司法警察のラファエルの部署にも変化が。今シーズンからアルチュール(メレディン・ヤクビ)が抜けたために、たまたま保険会社の担当として宝石盗難事件に関わって登場した、休職中の女性刑事ノーラ・マンスール(ソフィア・ヤムナ)が、そのままスタッフに充填される。
 ラファエルに告白されたニコラ(ベノワ・ミシェル)は、ようやく美人の彼女(ヴィクトワール・クリスティーネ)と別れて、踏ん切りをつけたものの、今度はニコラを気に入ったノーラに言い寄られる羽目に。ラファエルは、今度はこっちにもイライラすることになるのだが、最後には記憶を飛ばした数日間にニコラとの仲を成就させるという離れ業を!
 そして、今シーズンのラストには、なんと「IQ160清掃員モルガンは捜査コンサルタント」シーズン3のラストと、全く同じオチが!!フランスのテレビ局、脚本がかぶりすぎですよ!

  事件の方は、まるで「ルパン」ばりに、10年間非公開だった宝石が一般展示が始まった日に消えた事件からスタート。
 イランから亡命していた少数派宗派の男が、ペルシャの死神「イフリート」に殺された事件(2話)、さらにクロアチアから移送される途中の連続殺人犯が殺される密室殺人劇(3話)、住宅街の殺人事件が、遺伝子研究の先端企業の秘密を暴くことになる4話。ありがちな、チェス関係者が連続して殺されるチェスものの5話と、未来から来たと証言する怪しいおばさんが環境活動家を刺殺しようとする事件から、過去のレイプ事件が浮かび上がる6話。
 ブルターニュの美しい風景を入れ込んだロケで、地方の名家の隠された秘密を暴くことになる、今シーズンでは一番重い物語の第7話。
 最終話では当初のシーズンから取ってつけたように、アストリッド自身がが危機に陥るストーリーが多かったのだが、今回、危機に瀕するのはラファエルの方だ。
 気がついたら、事故を起こした車の助手席にいて、隣の男が死んでいたが、この4日間の記憶がまったくない!という絶体絶命のピンチ。
 もちろん彼女の無実を信じる、アストリッドとニコラが助けてくれるのだが・・・。
 謎解きのテンポも、話の整合性も、シーズン初めの頃よりはずっと良くなっていて、安心して見られるのは確か。ただし、物語の中のミステリー要素自体は、手堅さを狙ったのか、ありがちなパターンに収まってしまっているようにも思える。

 今シーズンの最後には、ラファエルの驚きの発見もあるが、一方テツオは奨学金を打ち切られ、帰国しなければならないことをニコラに打ち明けている。
 シーズン5があるなら、ファンには、テツオとアストリッドと今後がきになるところだろう。

By 寅松