オンランシネマ

ピリオド -羽ばたく女性たち-

祝アカデミー受賞! インドの「ナプキン娘。」による女たちの『ブレイキング・バッド』

 

Period. End of Sentence.
2018年 アメリカ カラー 26分  Netflixで配信
監督:ライカ・ゼタブチ 製作ライカ・ゼタブチ、メリッサ・バートン、ギャレット・K・シフ、リサ・タバック
出演:スネハ、レカ、ルビー、アジェヤ、シャバナ、スマン

 第91回アカデミー賞ドキュメンタリー短編映画賞受賞作。
「ピリオド」とは、英語で「生理」「月経」「メンス」のこと。文章の「終止符」と同じなので、映画の原題にも「.」=ピリオドがついている。
 日本ではすでに、吉田戦車の「伝染るんです。」や「モーニング娘。」があったが、なんとなく共通点があるような気もしないでもない。

「メンスはこの国最大のタブー」と証言するインドのアルナチャラム・ムルガナンタムさん(男性)。
 女たちは恥ずかしがってなかなか口を開かず、男たちは「学校のチャイム?」「女性の病気の一種」(伝染るんです……か??)と答える始末。学校へ進学した女性が、生理のたびに男性たちに囲まれてじろじろ見られ、遠く離れた場所へ行って処理しなければならず、結局学校を中退したと告白する。生理期間中の女性はお寺でお参りもできない。
 生理用ナプキンを、テレビで見たことはあるが、実際に使うことなど夢の夢。インドの地方の村の女性には高嶺の花。使い方も知らない、という。
 そこで立ち上がったのが、アルナチャラムさんで、手作りで生理用ナプキン製造機を開発、ある村の女性たちに作り方を伝授し、女性たちが実際に製造・販売に乗り出すのだ。

 父権社会のインドでは、家庭内で「生理」のことを口にするのもはばかれるそうで、彼女たちは秘密裏に集まってナプキンを作る。作業は9時から5時まで。来訪者禁止。男たちには「おむつ」を作っていることになっている。
 圧力釜のようなもので綿を膨らませ(?)形を整えたら手動圧縮機でプレスする。できあがったナプキンは、「女性に羽ばたいてほしいから」ということで「FLY」という商品名を印刷された紙箱に詰められる。そして、女たちが町の雑貨屋に置いてもらったり、直接女性たちに売りに歩く……。

 これは、インドの「生理用ナプキン娘。」による女たちの『下町ロケット』であり、見ようによっては『ブレイキング・バッド』だ。短編なので、その後どうなったのかはわからない。まさか、お堅い男性陣がやめさせに来るとか、大企業が買収に動くとか……インドのことだから、そのうちミュージカルにして全顛末を見せてくれるだろう……と、思ったらもうインドで映画になって日本でも公開されていた!『パッドマン 5億人の女性を救った男』(18)だ。さすが、ボリウッド!

by 無用ノ介