海外ドラマ

ロンドン 追う者たち、追われる者たち シーズン2

問題を抱えた刑事コンビは、危ないセレブに上り詰めたフレディと、新たな怪物に翻弄される!

We Hunt Together Series 2
2022年 イギリス カラーHD 45分 全6話 BBC Studios/Alibi Showtime(アメリカ) AXNミステリー・チャンネルで放映
クリエイター:ギャビー・ハル 監督:ジョナサン・テプリツキー、レベッカ・ライクロフト
出演:バボー・シーセイ、ハーマイオニー・コーフィールド、イヴ・マイルズ、ヴィッキー・ペパーダイン、アンガス・イムリー、シャーリーン・ホワイト、コリン・モーガン、ニコ・ミラレグロ、ディポ・オラ ほか

 お互いがカップルで狩をしあう・・という前シーズンとは、ちょっと趣旨は変わってしまったが、今シーズンも抜群に面白い!クリエイターは、変わらず女性脚本家のギャビー・ハルが務めているが、監督2人は、オーストリア人のジョナサン・テプリツキーと、「マクドナルド&ドッズ 窓際刑事ドッズの捜査手帳」も手がける、レベッカ・ライクロフトに交代。コメディ要素が大きくなった気はするが、ハイテンションな展開や、キレのいい編集はそのままで楽しめる。

 前シーズンで、相棒のババがすべての罪をかぶり、自白したまま死んでしまったので、無罪放免となり、スキャンダラスな告白によって、SNS界ではセレブとなったフレディ(ハーマイオニー・コーフィールド)。今は、少女時代の親友で、実は池に突き落として自分が殺した少女フレデリカ(フレディの本名は、リリーだが彼女を突き落として以来、その名前を名乗っている)の弟ヘンリー(アンガス・イムリー)を抱き込んで、自分と同じ幼少期に虐待によりトラウマを受けた女性を支援するボランティア団体を運営している。
 一方、私生活では刺激を求めて、マッチング・コンパに参加して妻帯者の男とセックスに耽る。しかし、この一夜を共にした男が、中指を切られて惨殺されたことから、連続殺人事件が始まるのだ!
 休日で家族にパンケーキを焼いていた、ジャクソン・メンディ警部補は、家まで訪ねてきた相棒のローラ(イブ・マイルズ)に困惑顔だが、フレディがらみの殺人だと知らされて「そーか、仕方ない。じゃ、パンケーキは持っていくよ」言いながら家を出る。

 前シーズンでは、特殊な環境で知り合った、フレディとババの純愛にも似た絆と、まったく性格も人生観も異なるローラとジャクソンの凸凹刑事コンビの対比と、2組のチェイスが新鮮だった。
 今シーズンで、フレディは、自分のために連続殺人を犯す、見えない崇拝者の脅威にさらされるが、彼女らしく、警戒しつつも犯罪者をコントロールしようと危ない賭けに出る。

 一方、ローラとジャクソンのコンビは、お互いの問題とキャラクターが前回よりもはっきりして、コメディ要素も織り交ぜて描かれる。
 過去の事故のトラウマで、薬物依存症になった仕事中毒の女刑事ローラは、ギャンブル依存症の落ちぶれた小説家で、今はフレディの自伝のゴーストライターとして金儲けを狙っているリアム(演じるのは、「宿命の系譜 さまよえる魂」のアイルランドのイケメン俳優、コリン・モーガン)と接触する間に、衝動的に体の関係を持つ。依存症を抑えるために、挙動不審なほど仕事にのめり込むローラの雰囲気を、イヴ・マイルズは実にうまく演じている。おかしいけど、本当にいそうな人間に見えた。
 メンディの方は、前シーズンからその兆候はあったのだが、妊娠中の妻ジル(シャーリーン・ホワイト)の浮気の疑いが突きつけられ、暴走することに!
 いつもはお人好しで理性的なメンディの暴走ぶりも微笑ましい。

 前シーズンでは、昔の音楽のひねった使いたも楽しかったが、今回はディレクターが違いせいだろうか、音楽的には面白みはない。
 唯一、第4話のエンディングだけ、カントリー歌手、リン・アンダーソンが1970年に歌い、全米3位の大ヒットになった「ローズ・ガーデン」が唐突にかかる。フレディの気持ちに重ねて、「平穏な人生(バラの花園)を約束したわけじゃないわ/太陽が照っている場所でさえ/たまには雨だって降るものよ・・」という、タフな女の詩をかぶせたかったのだろう。

 こいつは怪しい!という人間がどんどん出てくるのだが、次々消されてしまう!そして、最後に出てくるのは・・・!腰を抜かすほどではないが、なかなかのどんでん返しも待っていていい。
 最近の英国ドラマでは、ダントツの面白さである!また、今回は、ハーマイオニー・コーフィールドのファッションも、なかなか楽しめる。

by 寅松

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