海外ドラマ

テンペスト教授の犯罪分析ノート シリーズ3

シリーズ2はつまらなかったが、なぜかシリーズ3は突然名作!?

Professor T. Series 3
2024年 イギリス カラーHD 60分 全6話 Eagle Eye Drama Britbox/ITV AXNミオステリーで放映
クリエイター:マット・ベーカー 監督:ドゥリス・ヴォス 原作:ポール・ピエドフォート(オリジナル版クリエーター)
出演:ベン・ミラー、エマ・ナオミ、バーニー・ホワイト、ジュリエット・オーブリー、フランシス・ド・ラ・トゥール、サラ・ウッドワード、ダグラス・リース、ジュリエット・スティーヴンソン、スネトラ・サーカー ほか

 ベルギーで製作された同名ドラマのケンブリッジ(英国)版。強迫神経症でアスペな犯罪学の天才、テンペスト教授(ベン・ミラー)がケンブリッジ署の教え子リサ・ドンカーズ刑事(警部補)(エマ・ナオミ)の求めに応じて、事件の意外な真相を暴いてゆくシリーズ。
 シリーズ1は意外に面白かったが、シリーズ2は、非常に定型になってしまったので、もはや評論するほどでもないと見放した作品だが、最新版のシリーズ3を見たら、同じ脚本家、監督でもあるにかかわらず、意外なほどおもしろかったので、レビューする羽目になってしまった。
 オリジナル作がシリーズ3までだったので、ここまではもともと計画されていたストーリーだったのか?

 なんといってもテンペスト教授が、刑務所の廊下を歩いているところから始まるのが衝撃だ。
 ベン・ミラーが演じるテンペスト教授は、シリーズ2の最終話で、元婚約者のクリスティーナ・ブランド警視(ジュリエット・オーブリー)が、自分を公私ともに騙したレインズバラ(アラステア・マッケンジー)を殺害するのを、散弾銃を撃って止めたが、このことで「無許可の散弾銃を警察署内で発砲した」罪に問われて、その顛末を証言するのを拒んだために、判事の意向で公判まで刑務所に収監されることになる。

 収監されていてもそこは、テンペスト教授。刑務所内でも、ドンカーズが持って来た資料から自動車販売店のオーナーが殺された事件の真犯人を見つけ出し(1話)、TV宣教師の息子の結婚式会場ホテルのプールで、新婦が殺されていた事件の犯人もあぶり出す(2話)。
 3話では、刑務所内で刑務官ジョン・ステドン(リー・ロス)が殺された事件で疑いをかけられた、同房の囚人が罪を被ろうとしていることを見抜く。(正直、このシーズンは、テンペスト教授や、ドンカーズに関する縦糸のストーリーが忙しいので、前にも増して事件はどんどん片付けられる。)
 裁判は、レインズバラ側がテンペスト教授の殺人未遂に主張を変えたために、自らのキャリアを守るために沈黙していたクリスティーナも、尋問のために銃を持ち出したと認めざるを得なくなり、4話でようやく教授は出獄する。
 しかし、クリスティーナは警察を去り、ドンカーズと恋人であるダン・ウィンター(バーニー・ホワイト)のチームには、新たな上官、マイヤ・ゴスワミ警視(スネトラ・サーカー)が配属される。が、この傲慢そうなアフリカ系上司は、最初からテンペスト教授の捜査への関与を認めないばかりか、リサ(ドンカーズ)とダン(ウィンターズ)が付き合っているなら、どちらかは配属変えにすると宣言する。
 チョコレート会社の人気商品から毒物が発見された、連続殺害事件で、事の真相とさらに毒物を利用した別の殺人にたどり着いたテンペスト教授。
 5話では、イギリス犯罪学会が行われた会場での殺人事件が発生。学部長のディーン(ダグラス・リース)は、テンペストの不在中、その代役として彼の地位に居座っているヘイデン(コーネリアス・ブース)に犯罪学会での基調講演をさせて、箔をつけた上でオクスフォードへ転属させて、テンペストの地位を復活させようと企んでいた。ディーンの命でいやいや、ヘイデンの話にならないスピーチ原稿を書き直していたテンペスト教授だったが、尋ねた彼の部屋でヘイデン自身が殺されているのを発見したのだ。
 なんとかヘイデンに代わって、急遽、犯罪学会基調講演を行い、その最中に犯人も指摘したテンペスト教授だったが、6話ではついに自らの強迫観念のルーツと対峙する。
 母親のアデレード(フランシス・ド・ラ・トゥール)が、腰を痛めて入院している間に、心理カウンセラーのヘレナ(ジュリエット・スティーヴンソン)を呼び出したテンペスト教授は、屋根裏部屋に隠された、父親自殺に関する日記と壊れたトロフィーに対面し、自らのトラウマの出発点となった事件の真相を知ることになる。
 一方、ウィンターズ刑事は、転出する予定の恋人リ(ドンカーズ)にプロポーズ、ようやく二人はゴールインを迎えるのかと見えたが・・・。
 自損事故で死亡した女性が、実は首を絞められていた事件を追っていたドンカーズは、テンペスト教授の忠告を無視して容疑者の車を止めようと立ちはだかるが、轢かれてしまう。
 教授と、ダンは次々に現場に駆けつけるが、リサ(ドンカーズ)は目を開けなかった。

 驚かせるエンディングは、果たして「埋もれる殺意」みたいに主役が死亡なんて話なのか!?
 最後の最後で、一度トラウマを脱して、手袋を脱いだテンペスト教授は、リサの事故現場に出会って、また手袋をはめてしまったし・・、本当に死んだのかは、真祖がわからないまま。
 というわけで、シリーズ4の制作も決まっているようです。
 ベルギーのオリジナルドラマもシリーズ3までなので、この先はオリジナルになるんでしょうね。

By 寅松