私は刑事ロボスコ 南イタリアの事件簿

バーリが舞台の、美人で巨乳の熟女警視をめぐるメロドラマサスペンス!

Le indagini di Lolita Lobosco Season 1
2021年 イタリア カラーHD 125~155分 全4話 Rai Fiction/Rai 1 AXNミステリーで放映
脚本:マッシモ・ガウディオーソ、ダニエラ・ガンバーロ、マッシモ・レアーレ 原案:ガブリエラ・ジェニシ 監督:ルッカ・ミニエロ
出演:ルイザ・ラニエリ、フィリッポ・シッキターノ、ルネッタ・サビーノ、ジョバンニ・ルデーノ、ビアンカ・ナッピ、ヤコポ・クリン、ジュリア・ヒューメ、フランチェスコ・デ・ヴィート ほか

 最近でこそ、少しは知られるようになってきたかもしれないが、日本人でバーリまで行ったことのある人がどのくらいいるだろう?イタリアの南部ではあるが、ローマ、ナポリ&アマルフィ、サルディニア、シチリアなど、日本人にも人気が高い地中海側と反対のアドリア海に面したプーリア州。その州都がバーリだ。
 見た目がキュートなので近年やたらに世界遺産として宣伝されている、トゥルッリが並ぶ集落アルベルベッロを目指す観光客か、ブッラータがブレイクしたおかげで注目されたプーリア料理に目覚めたグルメさんたちなら、可能性はあるだろうけれど・・昔は、とにかく日本人は絶対行かないような場所だった。
 でも、ここの人たちは比較的に日本人に好意的だし、とにかく人がいい。(ちなみに、ドラマの中でも主人公ロリータの家族が始めた民泊の客として登場するのが、日本人のアツモリ&アヤ夫妻である)主観ではあるが、プーリアの人に比べたら、ローマの人は皆、悪党の部類に入る。(笑)そして、ものすごくお節介だ。ついでに悪いことをする人間は全員、海を泳いで(対岸の)アルバニアから渡ってきた人間だ、と固く信じている。
 もう一つ、日本人に興味深いのは、この人たちが大変な魚介好きで、特に生のまま、貝類やウニを食べるところ。リストランテで生の貝が出てくるのは、結構衝撃だ。
 街は全体は、巨大なターミナル駅があって意外に大味なのだけれど、港の突端の狭い範囲が旧市街で、古代イタリアというよりギリシャや中東の影響を思わせる古代の街並みが残っている。

 いやいや、なぜこんなに街の話を長々と書いたかかというと、このドラマの主役が美人さんの女性警視というより、ほぼこの街そのもののだからである。
 オヤジ刑事もの「モンタルバーノ〜シチリアの人情刑事〜」のプロデューサーが仕掛けた、イタリアご当地・刑事ドラマの最新作。イタリア人にとっても、あまりなじみのない地方都市ということなのだろうか?
 とにかくこのご当地ドラマでは、バーリの風景や独特な食べ物、さらに人々の生活が、しつこいほど描かれている。多くのイタリア人にとってさえ、けっこう見る価値のあるものなのだろう。のっけからクリスマスでスタートして、会食シーンが多いのも狙いか?
 まず出てくるのが、主人公たちが気軽に摘んで食べるスポルカムッス<Sporcamuso>。熱いクリームをパイ生地で包んだお菓子である。喧嘩をしてクリスマスの食事から帰ろうとする主人公のロリータに、母親が持たせようとするパンツェロッティ<Panzerotti>は、この地方特有の(主に揚げた)カルツォーネのこと。
 第1話の最後にナレーションで出てくる、カルッティラーテ<Cartellate>はクリスマス、復活祭に食べるヴィンコットとシナモン風味の揚げ菓子、ズガリオッツェ<Sgagliozze>は、街場でよく食べるポレンタを揚げたスナック。
 さらにオープニングやら、街場のシーンでやたらに出てくる、おばさんたちが家の外で台を広げて何やら捏ねているのは、この地方の代表的パスタ、オレッキエッテ<Orecchiette>だ。この地域では、なによりもまずパスタといえば、この耳型パスタで、旧市街の中でおばさんたちが、これを作る姿は、もはや有力な観光資源となっているらしい。
 検視官のイントローナ教授(フランチェスコ・デ・ヴィート)が海からとっきたタコをオーブン焼きにするというのも、ギリシャに通じるこの地域ならの料理。
 そして、後半何度も登場する、リッチョ<Riccio di mare>=生うには、この地の人がよく食べる海産物。シチリアや北部でも、ウニは時々食べるが、ここの人たちは本当に大好きだ!しかし、日本のウニとは随分と違う。ここのウニは、実に小さくて痩せていて食べる部分は少ない。それを半分にわって、中身をティースプーンですくって味わうのだ。
 いずれにしても、このドラマではのべつまくなしに皆何かを食べている。
 
 で、ようやく物語。主人公のロリータ・ロボスコ(ルイザ・ラニエリ)は40代の美魔女女性警視。美人の上にわりかし巨乳で、そのうえとても偉いのだ。もともとバーリの出身なのだが北部の大学を出て、北部で昇進したのちに故郷の街に副署長として戻って来た。
 本人も「女性警官が誕生して50年が経った今でも、苦労は絶えない。特に40歳で胸が大きく、名前がロリータならなおさらだ」と自嘲気味にナレーションするほど、ドラマ的キャラクターである。
 警察署には、元ロリータの同級生で彼女に気があった、部下の警部、アントニオ(ジョバンニ・ルデーノ)や、「女には指図されない!」と空威張りをしたそばから、出勤して来たロボスコにへこへこするダメ警官、エスポジト(ヤコポ・クリン)らが。女子トークの相手、昔からの親友のマリエッタ(ビアンカ・ナッピ)は、今や検事である。
 イタリアものなので、ロマンスと家族は最重要課題なのは言うまでもない。年下の恋人候補になるジャーナリスト、ダニーロ(フィリッポ・シッキターノ)、昔の恋人で、1話目の容疑者になるステファーノ・モレッリ(パオロ・ブリグリア)は、両方とも実にイケメンだ。
 ロリータは、20年前に亡くなった父親ニコラ(アルド・オットブリーノ)に対して割り切れない思いを抱き続けている。漁師だったニコラは、対岸のアルバニアからタバコを密輸しいて、警察に逮捕された過去があったのだ。しかも単なる密輸にとどまらず、麻薬組織との関係も疑われる人物だった。
 回想シーンにしか出てこない、このお父さんがまたもや、とてもイケメン。それにもまして、回想シーン出てくる子供、少女時代のロリータ(少女時代:ソフィア・ファガナーロ/10代:ニコレッタ・ディ・ビシェーリエ)は、すごい美少女である。
 いまでも、この夫ニコラにメロメロの母ヌンツィア(ルネッタ・サヴィーノ)、子供がいるのに、経済的にもいつも迷惑ばかりかける妹のカルメラ(ジュリア・ヒューメ)とは、言い争いが絶えない。

 一応事件は起こるし、謎解きはあるのだが・・・、サスペンスとは呼び難い。
 1話目は、元ロリータの恋人の歯科医が、セクシーな助手からレイプされたと訴えられるも、どうも真相は違うという話。2話目が、密かに借りていた仕事部屋で、全裸で死んでいたハープ奏者の美女の謎。3話目が、アサシン・スパゲティを名物にしているレストランのオーナーが殺されるが、どうも評判と違って悪辣な人となりが次第に明らかになる話。そして4話目が、アントニオとロリータがともに出席している同窓会にも来ていた、広告業界人の同級生が、翌朝何者かに殺された事件。
 何れにしても、大した謎ときも、サスペンスも存在しない。全体の縦糸ととして、警官になったロリータが、心の中で突き放していた父親の死が、実は殺人ではないか?という疑問がわきあがり、その真相を突き詰める物語が・・。
 最後には父の死の謎とともに、自分が犯罪者の娘でありながら、警察に採用された真相が明らかになる。
 全部を見終われば、イタリア人の作るものは、どんな形式であれ、基本メロドラマなのだと思い知らされるだろう!事件は全体のほんの一部で、それとともに、それぞれの家族の事情やら、マリエッタとの(おばさん)女子トーク、父親との思い出やダニーロ&他の男たちとのロマンスが全て驚くほど同じ比率で描かれる。そして、事件より、なにより、一番大切なもの・・、それは美味しいものを食べることと、家族の問題なのだ・・・。
 ちなみに、1話目の最初で誰かに盗まれ、その終わりで戻ってくるロリータのレトロな愛車は、思った通りアウトビアンキ(ビアンキーナ)であった。
 サスペンスを期待しないで、南イタリア、プーリアの風物を楽しむつもりで見てもらえれば、なかなかお腹いっぱいになる作品である。

By 寅松

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