Backstrom はみ出し刑事ベックストレーム

はみだしというより老害、パワハラ・デカの独りよがり捜査!

Bäckström Season 1
2020年 スウェーデン、ドイツ カラーHD 105~120分 全3話 Yellow Bird、C More/TV4 スーパードラマ!TVで放映
脚本:デニス・マグヌッソン 原作:レイフ・GW・ペーション 監督:アマンダ・アドルフソン、ヨナタン・シェーベルイ
出演:シェル・ベリィクヴィスト、アグネス・リンドストローム・ボルムグレン、エルヴィス・シュテグマー、リビア・ミルヒゲン、ペッカ・ストラング、フィリップ・バーグ、ペシェング・レド、ロルフ・タイドゥ ほか

 どうも聞いた名前だと思ったら2015年に一度、FOXがレイン・ウィルソン主演でドラマ化したコメディー作品「クレイジー刑事 BACKSTROM」と同じ原作のドラマのようだ。FOXのドラマは、アメリカの田舎町が舞台だったが、もともとは日本でも翻訳されているストックホルム生まれのミステリー作家、レイフ・GW・ペーションのヒット作「ベックストレーム警部シリーズ」が原作。今回は、めでたく本国で製作されることとなった。
 原作のチビ、デブ、口が悪い、金に汚く女好きのオヤジ刑事ベックストレームは、イタリアあたりならどこにでもいそうなキャラだが、あえて真面目人間の多そうなスウェーデンに持ってきたことがウケたのだろう。
 しかし、このドラマも、先にドラマ化されたFOX版も、いまいちキャラクターがはっきりしない。両方とも口が悪ことだけは、継承されているのだが、ドラマとなるとあまり下品なキャラでは、共感が得られないということか?曖昧さが残り、正直パッとしない。
 レイン・ウィルソンが主演を務めたFOX版も、主人公は、口が悪く、短気なところはともかく、アンティーク倉庫のような部屋に住み、クレイジーどころか、単に頭がボサボサなだけの必然性のないキャラでいただけなかった。
 新スウェーデン版では、もう少し年齢が上がり、暑苦しい感じは原作に似せてあるようだ。国家犯罪捜査局から、ソルナ署に左遷されてはいるが、TVの犯罪番組に、宿敵の悪徳弁護士、エリクソン(イエンス・フルテン)とともに出演。なみのもんたが脂ぎったようなオヤジぶりで熟女と子供には大人気。自分で改装を手がけるアパートに住み、女にモテるという話ではあるが、寄ってくるのはけっこうな熟女ばかりである。

 そんなオヤジ刑事のもとに、事件を持ち込んだのは、隣の部屋に住む子供エドヴィン(エルヴィス・シュテグマー)。ボーイスカウトに派遣された途中、いじめにあっておいていかれた無人島で、人骨を発見したのだ。15年以上経ったアジア人女性の頭蓋骨。銃弾のあとが残っていた。
 子供好きでもなさそうなベックストレームだが、彼の教えを忠実に守り飲み込みの早いエドヴィンを、小さな弟子のように思っているようで、この事件の捜査を本気で開始する。
 しかし、ベックストレームに日頃から、ムーミン出てくるニョロニョロとあだ名され、バカにされている若いソルナ署所長、トイヴォネン(ペッカ・ストラング)は、現金輸送車の襲撃事件優先で、ベックストレームの事件には一向に耳を貸さない。ベックストレームの一番弟子である美人捜査官のアンカン(アグネス・リンドストローム・ボルムグレン)は、襲撃事件と兼任に指名され、要求した増員に呼ばれたのは、靭帯断裂で杖で歩いている巡査のクリスティアン・オルソン(フィリップ・バーグ)と、同じく足を痛めているオレシュキュビッチ=通称オルゾン(ペシェング・レド)。
 ベックストレームは、TV番組で所長のトイヴォネンをバカにしてうさを晴らすが、この番組を見て激怒したトイヴォネンは、これまで経済事件しか担当してこなかった副検事ヴァス(リビア・ミルヒゲン)を指揮官として指名して、ベックストレームを妨害する。(スウェーデンでは、捜査段階から検事が捜査を指揮する制度があるようだ)
 野心家で政治家を目指すヴァスは、もともと国家犯罪捜査局の局長だった父エーリック(スタファン・ゴース)の影響で殺人事件解決を望んでいた。引退した父は、すでに認知症の傾向を見せているが、未だに娘には厳しくあたる。その上、一緒に捜査する警官がベックストレームだと聞いて「お前はついているぞ!何もしないで、彼のやることを見ていればいい。全てを解決する男だ!」などとアドヴァイスをくれる始末。ヴァスは、なんとかベックストレームの弱みをにぎろいうと、エリクソンに近づくのだが・・・。

 事件の方は原作者が犯罪学者だけあって、凝った作りではある。スウェーデンの小島で発見された人骨のDNAを検査すると、さらにずっと以前にタイで津波の被害で死亡した女性のものとして登録されていることがわかるというもの。ベックストレームは、その背景にひそむ、保険金詐欺事件をあぶり出す。
 事件自体の解決は、もう少し面白く作れそうなものだが、脚本も演出も、まったく締まりがなく、ダラダラしているばかり。ベックストレームの捜査手法も、たくましい造像力で、事件現場を脳内で再生できるという変わり種。証拠を積み重ねるでもなく、「わかった!」と勝手に決めるばかり。案の定、最後は証拠不十分で事件は無罪になってしまう。
 ベックストレームの粗暴な態度や口の悪さが引き起こす、身辺の反目や誤解、陰謀だけはよく描かれているが、正直この内容で、この長さは勘弁してほしい。

By 寅松

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