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IQ160清掃員モルガンは捜査コンサルタント シーズン5

さよならモルガン!なんだか少ししんみりするシーズン!

HPI: Haut Potentiel Intellectuel (H.I.P. High Intellectual Potential) Season5 (Saison5)
2025年 フランス カラーHD 52分 全8話 TF1 AXNミステリーで放映
クリエイター:アリス・シェガレ=ブルーニョ、ステファーヌ・カリー、ニコラス・ジャン 監督:ヴィンセント・ジャーメイン、モナ・アシャーシュ
出演:オドレイ・フルーロ、マリー・ドナルノー、メーディ・ネブー、スプリアン・ガーデン、ブリュノ・サッシェ、クロティルド・エスム、ベランジェール・マクニーズ、ノエ・ヴェンデボード

 大人気のフランスの大手FR1の刑事ドラマだが、どうやら人気絶頂のうちにということで、本シリーズを持って終了するようだ。IQが160もあり、頭の回転が速すぎるが、一方でADHDで社会に適応できない「ギフテッド」である主人公モルガン(オドレイ・フルーロ)が、警察に協力し、様々な波乱を巻き起こす物語である。
 クリエイターのアリス・シェガレ=ブルーニョの狙いの面白さは、このギオフテッドの主人公を、男性の若者や、「アストリッド&ラファエル」のアストリッドのような社会から守られた若い女性ではなく、実際に社会に出てしまって、すでに中年に達しようとしているオバサンにしたことだ。
 頭が良すぎて、相手の様々な感情に気づいてしまう彼女は、よほどノホホンとした相手としかうまくいかないが、どんな相手とくっついても、日常生活はハチャメチャになるし、関係は長続きしない。
 しかもADHDなので、性生活のコントロールはできないし、3人の別の父親の子供が3人(前シーズンで4人目を妊娠)も引きつれて生活も大変だ。
 ギフテッドの苦悩だけでなく、子供を育てるシングル女性としての困難ぶりが、このドラマのもう一つのテーマだと思う。

 本シーズンはドラマのトーンが、全体的にややしっとりでやや古めかしい。シーズン2〜4までは現代的な回も多かったが、本シーズンで監督が初期シーズンの2人に戻ったことが関係しているのだろう。
 モルガンの妄想シーンで、演劇型の演出が多用されて、やたらに突然の舞台が登場する。ちょっと昔のフレンチ・コメディの趣もある。

 前のシーズンで5人目の子供レオの父親が、カラデックであることが判明した2人と、モルガンの3人の子供達は、家主アンリの税金滞納で家を追い出され、カラデックのマンションで同居中。
 2人は子育ての大変さを再確認している最中だが、一緒にいるためについつい性関係も持ってしまって、子供達にもバレバレである。
 そんななかでも、事件は容赦なく起こる。
 ポーランド出身のイケメンコンビニ店主が殺害されるが、車から赤ん坊が発見される事件。
 自損事故で死亡したライドシェアが、実は事故以前に毒薬で殺害されていた可能性が浮上した事件。
 警察に現れた霊媒師が「女性暴行のビジョンを見た!」という曖昧な証言を残して、占いや心霊ものが大好きなダフネ(ベランジェール・マクニーズ)が張り切るが、その霊媒師が死体で発見される事件。

 相変わらず複雑すぎる事件を解決してゆく一方で、モルガンとカラデックは育児でてんてこ舞い。自分の家にリラックスできるスペースのないカラデックは、不動産屋で一時貸し部屋を予約し、一人になってベジタリアン麺を食べるほど。
 モルガンの方は、なんどか父親のセルジュ(パトリック・シェネ)から電話を受け取っていたが、「どうせ、厄介ごとにちがいない」と思い、無視を決め込む。
 実は、セルジュは末期ガンが発見され、わずかな命だった。
 病院からその死亡を知らされたモルガンは、その遺言通り遺灰を海岸に撒きに行くが、その列車の車中で一人の若者が拉致された可能性を発見し、ギリギリでその命を救うことになる。

 セルジュの残した奇妙な遺品ストーンズのチケットが、トレーラーハウスを指すと気づいたモルガンは、突然カラデックから退去し、子供を引き連れそのトレーラーに引っ越してしまう。カラデックの秘密を知った、モルガンは彼女なりの遠慮をしたのだ。
 一方、カラデックとモルガンから、性的な関係を持ったと報告されたセリーヌ(マリー・ドナルノー)は、形式的なつもりで人事部に報告を入れ、意外な回答を得て困惑する。近年人事のシステムが変更になり、今後は相談役という地位でモルガンを雇用することができなくなったと知らされたのだ。
 困ったセリーヌは、なんとかモルガンを言いくるめて、警官の募集試験を受けさせることを思いつく。

 かつてeスポーツの選手だった若者が殺された事件に出動したモルガンは、現在のチームのメンバーの間で起こった、隠れた確執をあぶり出す。
 一方、公園で発見された遺体の近くにいた、大麻を吸っているバカ学生たちが、容疑者として逮捕されるのだが、その一人はセリーヌの息子マテオだった。事件をリール憲兵隊に移管されてしまったセリーヌのために、モルガンたちは真犯人の割り出しに協力することに。
 同じ頃、生前セルジュと付き合っていて、隠し財産があるはずだと、しつこくモルガンを脅していた、レティシア・パスコ(カロリンヌ・ロッシュホワ)の遺体が発見され、その捜査を指揮しているラフォレ判事に、カラデックが呼び出される。レティシアの携帯にカラデックの写真が残っていたからだった。
 実は、レティシアは、モルガンがカレーで警官の筆記試験を受けている間にトレーラーを訪れて、テア(スプリアン・ガーデン)とエリオット(ノエ・ヴァンデブール)を脅し、2人がトレーラーに引き込んでいた高圧線で、勝手に感電死したのだが、警察沙汰を嫌う、近所の呑み屋のオジサンが始末してくれていたのだ。
 モルガンが試験を受けていたことを知らないカラデックは、モルガンをかばうつもりで彼女のアリバイを偽証する羽目に。
 そのせいで、ラフォレ判事に追い詰められてゆくことになる!
 さらにベルギーとフランスの国境に捨てられていた、ベルギーの高級ホテル支配人の死体をめぐる真相を解決したモルガンとカラデック。
 警官採用口頭試験会場で、ついさっきまで担当していたリールの天文物理学研究所の博士課程の女性が殺害された事件の推理を喋り出すモルガンだったが・・・。
 警察の採用は?収監さてしまったカラデックは???
 そこはさすがにお楽しみに・・。

 ちょっとトーンは、しっとり調でコメディとしては寂しげな感じもするが、とりあえず最後の最後までモルガンらしい破天荒さで締めくくったシーズン5。この辺で終わるというのは、実に立派な決断だと思います!

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By 寅松