警視グレイス

日本ならダウンジング刑事(デカ)か、オカルト犯罪捜査班かあと思ったら、単なる味付けでした!

Grace Season1
2021年 イギリス カラーHD  105~120分 全2話 ITV Studios/ITV AXNミステリーにて放映
クリエイター:ラッセル・ルイス 監督:ジョン・アレキサンダー、ジュリア・フォード 原作:ピーター・ジェイムズ(ロイ・グレイス警視シリーズ)
出演:ジョン・シム、リッチー・キャンベル、ラキー・アヨラ、エイドリアン・ローリンズ ほか

 本国でも今年(2021)の3月、5月に放映されたばかりの最新作!ジョン・シム主演作としては、久々に手堅い出来で喜ばしかぎりだ。トレイラーを見て、ついにダウンジング刑事登場かあ??と心配していたが、超常現象の扱いは、まあ味付け程度ということで・・。(特にシム作品では多い)ストーリーの迷走を心配していた方は、まずご安心いただきたい。
 なんといっても一応ミステリーとして評価の高い原作がある。自身がブライトン出身の作家、ピーター・ジェイムズのミステリー、ロイ・グレイス警視シリーズだ。今回のシーズン1で取り上げられたのは、日本語訳もある2005年の『1/2の埋葬』<Dead Simple>と、2006年の『会員制殺人サイト』<Looking Good Dead>の2作品。

 ドラマの中での扱いはちょっとなのだが、話としては出だしから主人公の東サセックス署の警視、ロイ・グレイス(シム)は自分が摘発した殺人事件の裁判で、捜査の過程で超能力者(ダウザー)の協力を仰いだという件で弁護側から責め立てられ、マスコミにもバッシングを受けている。おかげで今は捜査現場を外され、事務仕事をする羽目に。
 実はグレイスには6年前に、妻が何の前触れもなく突然失踪したという辛い過去があり、ダウジングとの出会いはその妻を探す過程でのものだったようだ。
 そこに長年のロイの後輩で友人でもある、ブランソン巡査部長(キャンベル)が声をかける。独身最後の花婿を連れて、男5人が車で走行中に交通事故を起こし、3人が死亡、1人が重体となったが、花婿マイケル(トム=ウェストン・ジョーンズ)だけが行方不明になったという奇妙な事件に、協力してほしいというのだ。
 悲嘆にくれる花嫁アシュリー(アリーシャ・ベイリー)。自分は、悪天候でジャージー島で足止めされていたため、何が起こったのかまるでわからないという、マイケルの親友でもある不動産会社の共同経営者ワォーデン(マット・ストーキー)。最初は誰も怪しい感じはしないが・・・徐々に怪しい側面が。
 もちろん、懲りないグレイスは、頭を抱えるブランソンをなだめて、アシュリーに提供を受けたマイケルの装身具をもってダウザー、ヘンリー・フレイム(ローリンンズ)を訪ねるのだが・・、ダウンジングが示した場所はなんとウォーデンの自宅だった。ダウジング大失敗!と思ったら、ここからあっと驚く真相がわかって来る。

 2作目「抜けられない闇」<Looking Good Dead>では、グレイスでは前の事件を解決した功績もあってか、めでたく現場に復帰して、ブランソン巡査部長とモリー巡査部長(ローラ・エルフィンストーン)を従えたチームを指揮している。それでも上司のアリソン(アヨラ)からは、隣のハンプシャー州で警視正のポストが空いたので、転出する気はないかと持ちかけられる。また、いつオカルト捜査が批判されるかわからないので、上が煙たがっているというのだ。
 そんななかで、不審な死体続けて発見される事件が起こる。全身を完全にビニールのテープでぐるぐる巻きにされた状態で死亡していた男。テーブルには様々なドラッグが・・。
 間をおかず発見されたのは、牧草地に雑に放置されたバラバラ死体。頭部は見つからないが、若い女の胴体らしい。
 同時に進行して描かれるのが、インド系の真面目そうな経営者ザック(アミット・シャー)が列車で隣り合わせた客が忘れたUSBを自分のラップトップに挿入した為に、目撃してしまった生の殺人映像配信と、ウィルスに感染したラップトップから流出した個人情報でとことんひどい目にあう恐怖体験。
 フレイムのダウジングは、今回は不発に終わるが、一応被害者助成の特徴は言い当てて「十分注意しろ、死がある、そして水辺で終わる・・」とあまり役に立たないアドバイスを。
 結局、各国から集まった変態達が組織した、スニッフ(殺人)ビデオの配信サービスが浮き上がってきますが・・驚くような内通者がいたことが判明します。

 主な舞台になるのがサセックス州のブライトン・ビーチ。日本で言えば湘南のような、イギリス随一の南海岸リゾートなので、なんとなく華やいだ感じが。妻が失踪したジョン・シムのグレイス警視は、終始陰気ではあるが、ある意味オカルトや怨念めいた恐怖感は全然ないドラマである。
 逆に、割と世界中から凶悪な奴らが集まって来る傾向があるのだろう。犯罪は実は根が深くて凶暴だったりする。
 「ルイス警部」「刑事モース」「アガサ・クリスティー ミス・マープル」などの脚本家ラッセル・ルイスの手堅い脚本は、すごく特徴があるというわけでもないが、簡潔にエビソードをつないており、編集のテンポも悪くない。やや淡々といるのは、ITVのいつものスタンスである。
 これならシーズンを続けてほしい!と思う作品だが、すでに好評でシーズン2も決まっているようである。楽しみにしたい。

By 寅松

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