After Life/アフター・ライフ

たとえ最高の人生が終わっても、人生(アフター・ライフ)は続く・・・

After Life
2019年 イギリス カラー UHDTV(4K) 30分 全6話 Netflix/Netflixで配信
監督・脚本・主演:リッキー・ジャーヴェイス
出演:ケリー・ゴッドリマン、トニー・ウェイ、トム・バスデン、ティム・プレスター

 トニー(リッキー・ジャーヴェイス)はイギリスの小さな町の新聞社「タンベリーガゼット」の記者。最愛の妻リタ(ケリー・ゴッドリマン)に先立たれ、自殺を図るまで落ち込んでいるが、愛犬や同僚、取材相手、町の人々との交流でなんとか立ち直っていく……。
 と書くと、いかにも感動的な映画音楽に飾られたスター共演のハリウッド映画を連想してしまうが、そうはいかない。トニーは知性をフル回転させて毒舌を吐きまくる。毎日取材している相手は、鼻で2本の笛を吹く少年、壁の水漏れが「ケネス・ブラナー」な家、転んで釘が刺さったが太ってたので助かった超デブ女、母乳でプリンを作る主婦、ヒトラーそっくりの赤ちゃんなどなど、あまりにくだらないネタを売り込んでくる町の人々の点描が奥深い……そうでもないか。そして、トニーはやりきれない気分でジャンキーからヘロイン(!)を入手する……。そんな展開はやはりネットフリックスじゃないと許されないだろう(中毒にはならないのでご安心を)。とにかく、妻と過ごした最高の人生が終わったとしても、まだまだ彼の人生(アフター・ライフ)は続くのだ。

 リッキー・ジャーヴェイスは本当にいい人だ。ギャグが(一般人には)過激すぎてかなり誤解されているようだが(ゴールデングローブ賞の司会ではそうとう顰蹙を買ったらしい)、牧師の説教や常識人の問題なさそうな発言・展開からは真実は見えてこないと分かってるので、いつも観る者の常識の少し横をガツンと叩いて目を覚ましてくれる。元ニューロマ系ミュージシャンだったなんて想像もできないが、センスの良い最後の挿入歌で毎回しんみりさせてくれる30分は、美味しいけどちょっぴり苦いスコッチウィスキーのナイトキャップみたいだ。
 
 ここでは、得意技の〝モキュメンタリー〟手法ではなく普通のドラマ演出なのだが(ファンには新鮮!)、劇中に亡き妻が自分で撮ったビデオが出てくるあたりはジャーヴェイス節で、(ありし日の)夫婦のやたら楽しそうな様子は寂しさを増加させる。父親が老人ホームにいて、介護士の女性をパブに誘うのは前作のネトフリ・モキュメンタリー『デレク』とのつながりか。
 さて、元「ショナ・ダンシング」(1980年頃に日本でもレコードが出た美形ニューロマンティック・デュオ)のリッキー・ジャーヴェイスがセレクトしたと思われる挿入歌は、ルー・リード「サテライト・オブ・ラブ」、エルトン・ジョン「ロケットマン」、あと、ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズ、キャット・スティーヴンス……などなど。シーズン2が待ちどおしい。

by 無用ノ介

日本盤シングルも発売した

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