ボディガード-守るべきもの-

イケメン主人公が、警護対象とそういうことに!しかし、想像を絶する展開が!

Bodyguard
2018年 イギリス カラーHD 58~76分(最終回のみ76分) 全6話 BBC One / ITV Studio スーパー!ドラマTVで放映 Netflixで視聴が可能
クリエイター:ジェド・マーキュリオ 監督:トーマス・ヴィンセント、ジョン・ストリックランド
出演:リチャード・マッデン、キーリー・ホーズ、ジーナ・マッキー、ソフィー・ランドル、ポール・レディ、トム・ブルック、ヴィンセント・フランクリン ほか

 超イケメンのボディガードに、警護対象の超タカ派女性内務大臣もメロメロで・・・あやうい関係に!しかも題名は「ボディガード」って・・。ケビン・コスナーやキムタクの姿がちらつき、「どう転んでもろくなドラマなはずはない」という先入観が邪魔をしてしまう。しかし、なんと驚いたことに、これが抜群に面白い!今までの同名/同種ドラマはすっかり忘れ去って良いぞー!
 「ゲーム・オブ・スローンズ」のロブ・スタークに抜擢され、 ケネス・ブラナーの『シンデレラ』では王子様に選ばれたイケメン、リチャード・マッデンだが、このドラマでの演技力が認められてゴールデン・グローブ(TVシリーズ男優賞)賞を受賞しているほど。(最近は、エルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』にも出演!)大根のコスナーやキムタクとは全然違うのだ。
 見た感じはイケメンのデヴィッド・バッド(マッデン)は、イギリスの労働者階級にありがちな酒に問題がありそうな男で、美人でナースの奥さんとの間は離婚の危機に直面している。とはいえ、幼い子供が2人いて、お互い簡単に離婚にも踏み切れない模様。しかも下の男の子は発達障害らしく、特別クラスのある学校に入れなくてはならないらしい。
 要人警護を担当している警察官のバッドだが、今日は非番で子供たちを妻の家へ送り届ける最中らしい、しかし、子供と乗っていた列車内で自爆テロ犯に遭遇する。爆発物のジャケットを撒かれている女性の自爆テロ犯は、テロ対策班の対応に怯えて今にもトリガーを引きそうだが、バッドの説得でなんとか自爆は回避。バッドはアフガンに派兵されたことがあり、このような対応に慣れがあったのだ。
 しかし、逆に戦地でのひどい体験で今もPTSDの状態にあり、それを隠したまま勤務している。内に秘めたその時の心の傷が、妻との間に壁を作り、それが家族の危機にも繋がっていたのだ。
 しかし、この爆弾事件でバッドは昇進となり、一段上の要人警護の任務に就くことになった。その対象が、挑戦的なタカ派の政治家で内務大臣を務めている女性、ジュリア・モンタギュー(ホーズ)。モンタギューは、英国情報部保安部(テロップではこう訳されているが、国内の情報機関なので要するにMI5のことだろう)と組んで、市民のプライバシーを制限してMI5が監視できるという反テロ法案を通そうとしている最中だった。周囲の内務省や警察官僚、保守党の中でも彼女は非常に危険な人物と目されている。実際、彼女はMI5からの情報を入手して、首相の椅子に手をかけようと考えていたのだ。
 あらゆる忖度を廃して職務に没頭するバッドではあるが、アフガン派兵を一貫して支持して、現地にもたらした被害にも英国軍の犠牲にも敬意を払わないモンタギューに対しては怒りが湧いて、アフガン帰還後に、政府の間違ったテロ政策に反対を唱える集会を主催している友人アプステッド(トム・ブルック)を訪ねる。
 すでに1回目で、主人公の置かれた非常に複雑な状況が説明されるのには驚かされた。
 しかし、このあとも怒涛の展開に!バッドの子供が通う学校がテロの対象にされ、モンタギューの車が移動中に狙撃手に狙われる。普通の警官なら、この狙撃から逃げるのは無理だろうが、アフガンの経験があるバッドは狙撃手の場所を突き止めてそこに向かうのだが・・・、そこから出てきたのはなんと!!
 しかし、この凄まじい窮地を救われたモンタギューがなんだかバッドに色目を使い出したぞ。吊り橋効果なのか!?保守党幹部の嫌味な元夫ペンハリゴンと離婚して内務省の顧問に言い寄られはいるモンタギューだが、勢いでバッドとやってしまった激しいセックスにメロメロになってしまったようなのだ。「あなたは担当から外すけど、一緒にいて欲しいの。お互いの選択として」なんて言い出したよ!まったく。ついでにモンタギューが手を回して障害のある息子が良い学校に入れることになったりで、バッドの気持ちは揺れ動く。
 一方でバッドは自分の直接の上司のロレイン・クラドック(ピッパ・ヘイウッド)と警視庁のテロ対策班SO15の司令官アン・サンプソン(ジーナ・マッキー)の2人のおばさんたちからも、「モンタギューは危険人物でなんとかしなくちゃならないから、ずっと張り付いてMI5とのやりとりを報告しなさい」とせっかれている。生返事でかわそうとするバッドだが、モンタギューがバッドの子供学校の襲撃を事前に知っていて隠していたと暴露されて、疑心暗鬼になってしまう。
 うーん。それにしても、このイケメンはどちらを向いても、上司が女ばかり。ある意味現実を反映してはいるのだが、兵士上がりの警官なので、ハキハキと女性士官への敬称である<Yes, Ma’am>ばかり直立不動で言い続けていてちょっとかわいそうだ。いやいや、きっとそのうちこの「イエス!マーム」がかっこいいとブームになるに違いない。

リチャード・マッデン インタビュー

 そんなことを思っていると、第3回目で早くもモンタギューが!!ええ、この人、主役じゃなかったのー。
 ストーリーを全部書いてしまうわけにもいかないが、兎にも角にも毎回びっくりの怒涛の展開。この速さの割に、バッドと狙撃犯との接点が警察に判明するまで時間がかかるなーと思っていたら、それは最後の最大の窮地を生み出すためにとっておかれたのでした。
 ありえない窮地に陥ったバッドが、あの少し冷たかった奥さんヴィッキー(ソフィー・ランドル)の献身でなんとか挽回する姿も見所です。
 なんだか、PTSDの心理療法を受けて、こんなに円満になるんなら早くやればよかったのに!と思ってしまうが、まそこは全6回なので致し方ないだろう。脚本の出来は十分である。
 バーミンガムの病院で医師として勤務してから、医療ドラマを書いて脚本の道に入ったクリエイターのジェド・マーキュリオは、「ライン・オブ・デューティ 汚職特捜班」シリーズ(Netflixで視聴可能)で高い評価を得た脚本家で、警察や官僚が内部まで腐っている様を描くのは得意技のようだ。
 サウンドエフェクト系で非常に地味ながら、ルース・バレットが担当した音楽もドラマをよく盛り立てている。
 BBCでの放映なのに、ITV Studioとでるのはなんで?と思ったら、BBCが制作を発注したWorld Productionsが、ITV Studioに買収されてしまったということらしいが、BBC+ITVの上にお金を出しているのがNetflixという英国+米国=全員野球状態。おかげで、英国でこれまでで一番たくさん視聴されたドラマになったらしい。
 これはこれでよかったので、あんまりシーズン2とか作ってほしくはないが・・それは無理というものか・・・?

by 寅松

(日本語字幕版)

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