不眠日 -メビウス-
バイ・ジンティンは、中国版のジョン・シムか!
2025年 中国 45分 全16話 Youhug Media、iQIYI/Netflix Netrflixで視聴可能
監督:劉璋牧ほか 脚本:畢薔ほか 原作:張小茂『你是真查組』
出演:白敬亭(バイ・ジンティン)、文咏珊(マン・ジャニス)、宋陽(ソン・ヤン)、劉奕君(リウ・イージュン)、陳保元(チェン・バオユエン)、李靖筠(リー・ジンユン)、駱言(ルオ・イェン)、夏銘浩(シア・ミンハオ) ほか
主人公の丁奇:ディン・チー(白敬亭)が所属するのは、華澳警察。風景的には、大陸より台湾のような景色?中国にそんな名前の街あるのかよ?と思ったが、香港やマカオを連想させる架空の街ということのようだ。
とにかく脚本の作りが、視聴者を引き付けるための「張り出し」優先なので、特に第1話あたりのハイテンションな連続アクションは凄まじい。何の説明もないまま、夜中12時になると丁奇の1日はリセットされて、次々同じ日が繰り返されるというめまぐるしい展開。重火器をもった銀行強盗を逮捕するためのパターンが進化して、最終ループらしき5回めの強盗で、犯行は未然に防ぎ、犯人たちを誘導して警察が制圧する。
いくら中国が危ない国だからといって、ほぼ軍隊並みの武器を増備した銀行強盗なんて・・!リアリティーは、本当に二の次じゃなくて四の次あたり。
ただし、金はじゃぶじゃぶ掛かっているし、エキストラも凄まじい。台湾や韓国ですが、日本と比べれば、ハイテクな都会とだいたい犯人が潜伏している貧民地区の落差は激しいが、中国だけあってその差が凄まじい。人が住めるのか?と思うような崖にできた漁師町のような貧民街も見応えがあるが、いかにも空虚なハイテクビルも、撮影可能な地下駐車場も、いろいろあるのだろうな。
しかし、こんなスピード感で16話とは厳しいなと思っていたら、めまぐるしいのは最初だけで、今度は最初に飛ばした人物説明などが、後から繰り返される。うーん、いちいちやるんだね。(笑)
話の骨子は、理由は不明だが大学在学中の2016年ごろから特定の日時がループするようになってしまった主人公・丁奇は、5回繰り返すループ日を利用して、最初は株などで金を手にしたりしてみたが、結局、この超能力を人々のために使おうと、警察に入り、敏腕刑事になる。「不眠日」っていうから、不眠症なのかと思ったら、夜中の12時でループするので、「寝損なう日」なんですね。
彼が、思いを寄せている女性は、ちょっとお姉さんの安嵐:アンラン(文詠珊)。実は、丁奇が逃走した強盗たちを下校時の子供達から引き離すために道路封鎖を操作した結果、家を出たばかりの安嵐の母親を跳ねてしまうという副作用を生じ、それ以来、丁奇は、彼女をなんとしても守ると勝手に心に決めているのだ。(要するに好きになったんだな。)
この安嵐という女性は、名門・青藤湾大学出身。生物学の博士号を持つ天才で、今はバイオ薬品RAN開発で急成長を遂げる新興企業<MOMA>の研究員となっていた。
都合のいいことにというか、この<MOMA>をめぐり事件が発生する。
会社の実権を握っていた、3人の大株主=重役のうち、2人が実に奇妙な事故で死亡したのち、最後に残るCEOである墨遠致:モー・ユェンジー(宋洋)に、水槽のイカが彼の死を予告する・・という奇妙な脅迫映像が送りつけられたのだ。
先の2人の重役も殺害されたと考えた丁奇たちは、四課の上司の段崢:ドゥアン・ジェン(陳保元)、部下の方鷺:ファン・ルー(李靖筠)や耿澤凱:ゴン・ゼーカイ(夏銘浩)のほか、別班一課から、于沛珊:ユー・ペイシャン(駱言)ら三人を借りてチームを結成。墨遠致の警護を開始する。
しかし、警護中のある日、被警護者の墨遠致は、母校の青藤湾大学での講演会と、支援者子息の結婚式への出席を強行。青藤湾大学の混乱はなんとかしのいだものの、結婚式場で巨大ケーキが爆発して、墨遠致とほとんどの部下たちは一緒に亡くなるという大惨事が起こる。
その責任を追及される丁奇だったが、やはりこの日はループ日(不眠日)だったのだ。そのあと4回繰り返すループの中で、丁奇は爆破の犯人を探して奮闘することになる。
ループ日には、丁奇のようなループ感知者が手を下すことで、本来の出来事が変容してゆく法則がある。しかし、丁奇が何も手を下さないのに、2回めからのループは少しづつ変化し始める。
「自分以外にも、ループ感知者がいるはずだ!」丁奇の予測はだんだんと現実味を帯びて、<MOMA>が開発して来た万能薬「RAN」の秘密が徐々に暴かれることになる。
ハイスピードで展開するドラマ自体は、楽しめるのだが、その辺はエンタメと割り切りすぎで、SFが存立する背景である科学的説明はないに等しい。
要するに丁奇らが持っているのは、時間をループする能力ではなく、ループした日は、人間を含め全ての動物がその記憶を無くしてしまうというお約束があるのだが、ループ感知者だけが、ループした日の記憶を保持しているということらしい。
ループ自体は、自然現象のようだが、なぜそれが起こるのかの説明などは全くされない。
全ての癌を治療できるとするRNAは、遺伝子組み替え技術なのだろうが、この内容自体もまた説明されない。
実は後半、初期に開発されたRANを投与されたものがループ感知者になったことが判明してくるが、主人公の丁奇がループ感知者になったのは、研究者が雑に下水に流したこの薬が大学近くの池に流れ込み、その池にたまたま落ちた丁奇が影響を受けたという説明である。おいおい。
薬を雑に下水に流す研究者などいるのか?と思うが、そこは中国なのであり得るとしても・・、直接注射したやつと、池に落ちら男の影響が同じなんてことがあったら大変だよ!そんな薬なら、池の魚はみんなループ感知「魚」になってますがな!
こういう科学的な理屈や説明は、欧米>日本>韓国>中国の順で人々が気にしなくなっているようだ。民度の違いといえばそれまでだが・・。
演技の方は、墨遠致を演じた宋洋の怪演がひかるが、当初は頼りないイケメンにしか見えない丁奇の白敬亭が徐々に頼もしく見え出すあたりは、中国版のジョン・シム(「ライフ・オン・マーズ」でブレイクした英国俳優)っぽくもある。
ドラマの展開は、予想どおり。最後方で、超高層ビルの屋上にしつらえた(なぜか?韓国や中国では、このロケーションでの対決がやたらに起こる気が・・)ヘリポートで、取ってつけたような香港映画的一騎打ちを経て、相手も確保されるが丁奇は、意識不明に・・。
ここで終われれば、なんとかかっこいいが、そこは韓国ドラマの影響も大きい中国作。予想どおりダサい蛇足部分がたっぷりあります。
これ必要?という、捜査班仲間が全員揃っての屋台飲み会。丁奇と安嵐がいい雰囲気で、ちょうどよく意味不明の花火打ち上げ。そして、シーズン2に続くため、皆がハッピーなその時に、犯人は監獄から脱出してしまうのでした!
さすがにベタです。
By 寅松
