海外ドラマ

アストリッドとラファエル 文書係の事件録 シーズン5

そろそろファイナルにしてほしいなあ・・と、思ったが続く気満々!

Astrid et Raphaëlle Season5
2024年 フランス、ベルギー カラー2:1 52分 全8話 JLA Productions / France 2 AXNミステリーにて放映
クリエイター:アレクサンドル・ド・セガン、ローラン・ブルタン 監督:ジュリアン・セリ、デイビッド・フェリエ
出演:サラ・モーテンセン、ローラ・ドヴェール、ベノワ・ミシェル、ジェン=ルイ・ガルソン、ジャン=ベノワ・スーリエ、ウスキ・キアル、サイトウ・ケンゴ、ドミニク・エンゲルハート、ジュリー・アーノルド、ソフィア・ヤムナ ほか

 自閉症スペクトラムの犯罪資料局と行動派の警視がコンビで活躍する、フランスの人気ミステリー・シリーズ。そろそろ終わるのかと思ったら、今シーズンのラストも続く気満々で、シーズンは6へ続く模様。
 ラファエルの妊娠問題は、ニコラ(ベノワ・ミシェル)に、なかなか伝えられないまま。そのうちラファエルのアパルトマンに、唐突にラファエルの母親パトリシア(ジュリー・アーノルド)が襲来したりで、やきもきさせられるが、ラファエルがようやく出産を決意したかのところで、アクシデントが起こり結局は流産に。
 アストリッドの方の問題といえば、恋人と認識しているテツオ(サイトウ・ケンゴ)が、奨学金の継続が認められなかったため、ビザが更新されず、帰国しなければならないという事態が発生したこと。
 テツオは、幾度となくこのままだと「もう会えなくなると」と、アストリッドに伝えるのだが、そのことに感情的になれないアストリッド。テツオは、アストリッドの態度に傷ついて日本に帰国するが・・。
 その間にラファエルは、「テツオがずっとフランスに居られる方法を思いついたわ・・」と、ついにアストリッドにテツオとの結婚を勧めることに。ま、そうなるだろうとは、たいていの人は想像ついたろうが。
 しかし課題はそれだけではない。社会性向上クラブにアストリッドの幼馴染であるサミが現れたことで、アストリッドは、自分が封印してい過去の記憶と向き合うことになる。子供の頃、同じ自閉症スペクトラムのサミと一緒に通わされた乗馬クラブで、そこに居た指導員の男から虐待を受けた記憶が、少しづつ蘇って来たのだ。
 そして、犯罪資料館の記録から、現在はその指導員ドウニ・シャルトルーは、行方不明になっていることを知る。アストリッドは、その失踪に自分自身が関わって居たのでは・・と、心配になり始めるのだが・・。

 事件の方は、相変わらずフランスらしく凝りに凝ったエスニックな事件が多い。
 1、2話は、偽名を使ってフランスに居たカナダ人の平凡すぎる女性の公園での死亡が、実は伝説の殺し屋の手口であったところから、2人が殺し屋を特定すると、殺し屋は子供を誘拐されて仕方なく従っていたことがわかる。しかし、本当の犯人を突き止めようと捜査を進めると、ラファエルとアストリッドは、一緒にフランスの対外情報局と、アメリカのCIAに拉致され、それぞれから情報を提供するように持ちかけられるという、スパイもののパロディ。フランスの情報当局が、CIAから環境活動家をかくまうという話も笑える。

 3話目は、パリのチベット仏教寺院で僧が殺されるという悪夢を見た男の話。実は、警視正バシェールは仏教徒で、その夢を見た男は彼の友人であるらしい。夢の捜査?に、当然ラファエルは懐疑的だが、アストリッドは、その寺院で起きた20年前のチベット僧事件との関連に気づく。

 4話は、南米アステカ文明のトレジャー・ハンターが殺害されるが、心臓を抜かれていたために、ジャングルで暮らすアステカ族の最後の若者で、そのトレジャーハンターが養子縁組して居た男が疑われる話。影には、メキシコの麻薬カルテルとつながって、アステカの財宝を狙う男がいた・・。

 5話は、フランにおけるモルモン教コミュニティーで起きた殺人の話。デンマークの刑事映画「特捜部Q Pからのメッセージ」では、デンマークなどでも広がるカルト「エホバの証人」の実態が描かれていたが、(アメリカではメジャーな)モルモン教も、ヨーロッパでは十分カルトである。いかんせん、もともと一夫多妻、未成年の結婚も奨励していた宗教だから当然だ。その奇妙なコミュニティーで起こった、奇妙な殺人の真相は、かなりヘンテコだ。

 6話は、パリの橋の下で満月の夜に、狼男に切り裂かれたような連続したいが発見される。死体の周りに配置されたものから、アストリッドがブードゥーとの関連に気づくが、犯人像が見えて来ない。連続札事件のために呼ばれた、プロファイラーのデルフィーヌ(シャーロッテ・ガッチョ)と協力するアストリッドは、次第に現場から逃げた目撃者、ザイナブ(ナフィ・スワフィ)の秘密を解き明かしてゆく。その背景には、ナイジェリア人の売春組織と、ブードゥーの力で女性を支配してきた司祭オズワルド・ジョンソン(ドゥードゥー・マスタ)の存在があった。

 7話は、有名な厩舎が所有する名馬フィオナッチ2世が、障害レースの前日に殺されているのが発見される事件。馬の殺害に使われたのが、トルコのヤタガンという歴史的な銘刀であったことから、以前の持ち主の息子で厩舎のスタッフだった、アドリアン・イズマイル(ヴェディアン・カンポ)が疑われるが、さらなる殺人が起こり、事件は意外な犯人にたどり着く。

 8話、最終話は、殺人の方はコロンボ・オマージュ風に最初から犯人が描かれる軽いミステリーだが、因縁の宿敵が登場する。
 映画監督のポール・ジェラール(アレックス・グーデ)は、人気俳優マチュー・フルニエと女優である妻メロディーのシーンで、事前に小道具の拳銃を実弾入りにすり替えて、妻にフルニエを射殺させる。実は妻とフルニエは不倫状態にあったのだ。事故で済ませようとするジェラールだったが、あえなく殺人であることがアストリッドに見破られる。
 しかし、この犯罪の殺人の手口をジェラールに教唆したのが、アストリッドとラファエルの宿敵で、刑務所を脱獄したアラン・ラマルク(ステファン・ギヨン)であることがわかってくる!

 ラマルクはあえなく撃ち殺されるのだが、予想通りのアストリッドとテツオの結婚式当日に、ラマルクの仕掛けた罠が!ストリッドではなく、ラファエルの方が危篤に陥り、緊迫したままシーズン6を待つということになりそうです。

 さすがに疲れてきましたけどね・・!

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By 寅松