リディア・ポエットの法律 シーズン2
リディアの活躍と、恋愛事情と、美少女ぶりがまとめてスケールアップ!
2024年 イタリア カラー 51~57分 全6話 Groenlandia
/Netflix Neflixで視聴可能
リエイター:グイド・イウクラノ、ダヴィデ・オルシニ 脚本:フラミニア・グレッシ 監督:マッテオ・ロヴェーレ、レティジア・ラマルティーレ、ピッポ・メザペーザ
出演:マティルダ・デ・アンジェリス、エドゥアルド・スカルペッタ、ジャンマルコ・サウリーノ、ピエル・ルイジ・パジーノ、シネイド・トルンヒル、ダリオ・アイタ、サラ・ラッツァーロ ほか
シーズン1もこれまでのイタリアものという概念を打ち崩す、テンポの良い編集、展開の速さで、お金のかけ方もなかなかだったが、シーズン2はこれを上回る出来の良さ!お金もだいぶかかっている。
特に、リディアの兄エンリコ(ピエル・ルイジ・パジーノ)とテレサ(サラ・ラッツァーロ)の娘、マリアンナ(シネイド・ソーンヒル)が、マルキシア公爵の息子パオロ(フランチェスコ・キャバッロ)に惚れ込まれて、一家がマルキシア家で催された、皇族(マルゲリータ・サヴォア)のためのパーティーに呼ばれるシーンは、かなり豪華でリアルに再現されている。イタリアだから、建物はいくらでもあるのだろうけれど、結構予算はかかっているな!
シーズン1では、最高検事総長に弁護士資格を剥奪されたリディアが、弁護士の兄エンリコの助手という名目で、ほぼ探偵として事件の真相を暴く物語だったが、今回は、それに加えて、ヤコポ(エドゥアルド・スカルペッタ)と、新たに登場したヒゲのイケメン検事フルノー(ジャンマルコ・サウリーノ)という2人の男の間で揺れ動くリディアの恋愛事情や、女性参政権運動に関わってゆくリディアの姿も描かれる。それにしても6話なので、すっごく忙しいぞ!
イタリアの広瀬すずにしか見えない、美人さんのマティルダ・デ・アンジェリスが演じていることと、おしゃれすぎる彼女のファッションはともかく、リディア・ポエットというイタリア初の女性弁護士は実在の人物で、この当時のトリノの雰囲気が出ている。
今のトリノは、イタリアでは一番スイス寄りのピエモンテの州都だが、ドラマの背景の時代は、イタリアが国家として統一して20年も経っていない時期。ある意味、トリノは、イタリアの中心だった。
イタリア統一に至る過程は複雑すぎて、ここで触れるこのは不可能だが、19世紀までそれぞれの地域が、ほぼ都市国家として分裂していたイタリアが、若い世代の愛国主義に押されて統一することになる。実は都市国家といっても、それぞれの都市は、オーストリアや、フランス、スペインなどの王室を背景に、それぞれ友好を結んで独立を保っていた部分があるので、外国からの干渉が排除できなかったのだ。
最終的に、両シチリア王国の反乱と、ナポリをガリバルディの赤シャツ隊が平定し、サルディニア王国のヴィットリオ=エマヌエーレ2世に献上、中部イタリア諸国やヴェネチアもサルディニア王国傘下に入ったために統一が完了した。
サルディニア王国という名前ではあるが、サアルディニア島に中心があるわけではなく、中心はトリノで、国王がサヴォイア家(フランスのサヴォアの諸侯)のヴィットリオ=エマヌエーレ2世であった。
ヴィットリオ=エマヌエーレ2世は、そのままイタリアの初代国王となるのだが、トリノはある意味京都のように、あらゆる意味でイタリアの先端であったろう。
そのトリノで、のつけからリディアは有権者登録をしようとして物議をかもす。女性は慣習として選挙権を認められていなかったが、女性は有権者になれないと憲法で明文化されているわけではないからだ。
進歩派に寛容な首相は、パーティーで会ったリディアの舌鋒に感心し、その感想を新聞に語った。おかげで参政権運動の象徴として彼女への人気が高まるが、女性が議員に立候補することはできない。進歩派のクラウディーロ議員とその妻の勧めで、リディアの兄であるエンリコに立候補の白羽の矢が立つ!
もちろん、エンリコは断るわけだが、徐々に説得されて、妹の野望を手伝うために立候補することに同意するのだ。
シーズン1では、ひたすら妹のやることに否定的だったエンリコだが、シーズン2になるとどうも随分と物分りが良くなってきたようだ。
その一方で、保守反動派の議員ユヴェラの秘密を探っていた、ピエモンテ・ガゼットの記者で、リディアやヤコポとも関係のあった、アッティラ・ブルサベッロ(ヤコポ・コルベッラ)が殺害され、弟のチェザレ(アンドレア・パルマ)が、犯人とされた事件が発生。ヤコポとリディアは協力して、チェザレを解放するが、その後もアッティラが調べていた事件の謎が、ドラマの縦糸として続き、最後までスリリングに展開する。
その間に、祖国大学女子学校に在籍しているテレサの親友の娘が殺人容疑をかけられた事件、関連性のないと思われる女性を狙った連続殺人事件、シーズン1でアメリカに渡ろうとリディアを誘ったアンドレア(ダリオ・アイタ)が帰国して、新しい恋人レティシアと結婚式をあげている最中に起きた殺人なども、リディアは片手間的に手際よく片づけてゆくのだ。
そして最後には、あっと驚く陰謀が暴かれる!
リディアに激しく惹かれながらも、ヤコポは社会主義新聞を発行するためにローマに旅立って、フルノー検事の方は、ずっと悩んできた持病、脳腫瘍を摘出する手術を受ける決断をしたところでシーズン2は終了。
シーズン3まで続ける気、満々のようだ!
ともかく、イタリアドラマとしては最高の出来。見ても損はない!
By 寅松