リドリー〜退任警部補の事件簿 シリーズ2
歌うオヤジ刑事、再び!事件は薄味、歌が多めでお送りします!
2024年 イギリス カラーHD 60〜65分 全8話 West Road Pictures、ITV/All3Media AXNミステリー・チャンネルで放映
クリエイター:ポール・マシュー・トンプソン 脚本:ジョナサン・フィッシャー、ポール・マシュー・トンプソン、ジュリア・ギルバート 監督:ポール・グレイ、ノリーン・カーショウ、アイシャー・サホタ
出演:エイドリアン・ダンバー、ブロナー・ウォー、ジョージ・ブハーリー、テレンス・メイナード、ジョージー・グレン、ジュリー・グレアム、ターリク・アル – ジェダル ほか
エイドリアン・ダンバーさん主演の歌うオヤジ刑事ふたたび!ということでシーズン2が放映された。日本(米PBSでも)では、前編後編で8話にされているが、本国では2時間の4話なので、まさに2時間ドラマ。
ダンバーさんのド下手ではないものの、いまいち底の浅い演技を見ていると、まさにイギリスの船越英一郎2時間ドラマを見ているようである。ただし、ダンバーさんは、すごくうまいと言うわけではないが歌も歌うし、舞台であるランカシャー/ヨークシャー・デール/ムーアなどで撮影された景色もすばらしい。
シーズン2では、もう忘れたかのようなそぶりだが、一応、刑事を退任する契機となった、妻と娘を焼き殺された事件が尾を引いていて、時々娘の幻影が現れるということで、定期的なカウンセリングを続けているリドリー。
1話目では退任した嘱託刑事なのに、以前から手がけていたのか?地元の組織強盗を探るために潜入捜査していることになっている若い女性警官トゥーシャ(クロエ・ハリス)のお世話がかりとして、けっこう面倒な立場に追い込まれる。
トゥーシャは、警官になったことは隠して、地元のワルが集まる母親の経営するパブを手伝っているのだが、実は殺人容疑のあるルイス(ダニャル・イスマイル)とは街を出る前から恋仲で、庇ってしまうのだ。同じ年頃のトゥーシャに亡くなった娘エラを重ね合わせずにはおれないリドリーなのだった。
2話目では、森の切り株の中から、見つかったかなり年数のたった女性の遺体が見つかった事件。当時、事件を担当したのはかつての上司で、リドリーが捜査不正を糾弾してしまったジーン・ディクソン(エリザベス・ベリントン)で、気まずいながら協力を仰ぐのだが・・・図らずも、警察を辞めて新しい恋人と新生活を始めていた彼女のプライベートの問題に踏み込む羽目に。
3話目では、廃墟となっている古い建物で行われていた深夜の違法パーティー中に、その建物を持つ不動産会社の次男で次期CEOの男が殺害された事件。次第にキャロル・ファーマン警部補(ブロナー・ウォー)の反抗期の息子、ジャック(ターリク・アル – ジェダル)が巻き込まれていることがわかり、全員がやきもきすることに。
4話では、コールデン・ヴェイルという小さな村で農場を営むロブ・ダニング(
タチア・ニュウォール)の妻で、息子のいるタラ(エミリー・ストット)が失踪したことで捜査に乗り出すが、さらなる殺人が起こり自体が混迷する。タラには、双極性障害があり、その母親も精神障害があったことがわかってくる。
これらの事件の合間に、リドリーさんの心の支えでもある街のジャズ・クラブが経営不振に陥り、クラブのママでリドリーさんが心を寄せる熟女、アニー(ジュリー・グレアム)が、1話目で登場した街にやってきた怪しげな宝石商ハリー(ジョン・ミッチー)の投資を仰いで、ついに心も動かされてしまう。その姿に、リドリーが嫉妬する、どーでもいい縦糸も展開。
さらには、プライベートはほぼ語られない真面目なファーマンの部下、ダレン(ジョージ・ブハーリー)にもギャンブルで借金があることがわかるなど、わりとまんべんなくキャラクターは活用される。
こう書くと話の方がややかったるそうに思えるかもしれないが、あくまでカットも話の展開も非常に早く、叙情的で長いカットがないぶん薄味ではあるが、かったるくなく見られるのは、このドラマの唯一の長所と言っても過言ではない。
その代わりと言っちゃなんですが、毎回(日本版では2話に1回か?)ダンバーさんのジャズクラブでのステージがフイーチャーされる。歌はシーズン2より多めだし、長い。もちろんライブではやってないのは当然だろうけど、歌の後半になるとステージ上にはいないギターやシンセも入り、ついにはストリングスが鳴り出すので、もはや歌謡ショーである。
シーズン2の終わりのステージは、フルコーラスで流れる。まあ、これこそ、プロデュースにも名を連ねた、エイドリアン・ダンバーさんのこだわりだと思われる。
By 寅松
1話目トレイラー
3話目トレーラー
4話目トレーラー