海外ドラマ

アーバス教授の殺人事件講座

辛辣な大学教授と、ワーカホリックの女性警部の捜査最強コンビ!

Master Crimes
2023年 フランス 、ベルギー カラー 55〜65分 全6話 UGC Fiction、Be-FILMS、TF1 Studio/TF1 ミステリーチャンネルで放映
脚本:エルザ・マルポー 監督:マルウェン・アブダラ
出演:ミュリエル・ロバン、アンヌ・ル・ネン、ヴィクトール・ムーテレ、アストリッド・ルース、タイス、ノルディーヌ・ガンソ、ニコラ・ブリアンソン、オリヴィエ・クラブリー ほか

 フランスのTF1で放送され、近年「IQ160清掃員モルガンは捜査コンサルタント」に続く視聴率を得た人気サスペンスシリーズである。
 大学院で犯罪学のクラスを持つ、有名犯罪学医者ルイーズ・アーバス教授(ミュリエル・ロバン)は、8年前に冤罪事件を起こしたかもしれないというトラウマを抱え、現在は実際の犯罪捜査から遠ざかっていた。
 しかし、(のちにアーバス教授と男女の仲であることがわかる)オスカー・ルシガラ警察所長(オリヴィエ・クラブリー)に説得され、殺人現場に出向くことになる。出向くにあたって、アーバス教授は優秀な学生ながら家庭の事情で退学を考えていた学生サミュエル(ヴィクトール・ムーテレ)を助手に雇い入れた。
 現場に残された死体には、アーバス教授の著作からとった一節「完璧な殺人者の出現を待つ・・」が、ステンシルで書かれてあった。この殺人自体が、有名なアーバス教授に向けた挑戦状であったのだ。
 一方現場を任されているバーバラ・ドランドル警部(アンヌ・ル・ネン)は、外部からの横やりにいい顔をしない。そもそも、生真面目でワーカホリックのバーバラと、非常に辛辣で、常に鷹揚な態度をとるアーバス教授とは全く反りが合わないのだが、捜査が進む連れて、お互いの実力を認めざるを得ない状況が生まれてくる。
 一方、アーバス教授は自分のクラスの生徒の中から、溶け込めていないと思われる半端物を3人選び出してサミュエルとともに助手として、捜査の協力をさせることに。
 記憶力が凄まじい優等生ながら、童貞のボリス(ノルディーヌ・ガンソ)。ウルトラミーハーでな美容系ユーチューバーでもあるヴァレンティーヌ(タイス・ヴァレンティーヌ)、ハッカーで、実は秘密の目的があって大学のデータベースに侵入して授業に潜り込んでいたミア(アストリッド・ルース)の3人と、イケメンで真面目なサミュエルを率いた、アーバス教授の捜査兼授業がスタートする!

 アーバス教授は、常に傲慢だがほとんどの場合最初から答えにはたどり着いていて、4人の生徒にそれぞれヒントを与えては糸口を探させる、授業形式で謎解きが進む。
 一方、アーバス教授も当時有罪と鑑定し、ピエール・ドローネ(ニコラ・ブリアンソン)が妻殺しとして有罪になり服役している事件が、物語の縦糸として登場する。アーバス教授は、この事件を鑑定を後悔し、ピエールに面会し「冤罪を覆す」ことを申し出ているが、ピエールには秘密があるようでこれを受け入れない。しかし、アーバス教授の授業に潜り込んでいたミアが、実はピエールの娘で、アーバス教授に父親の冤罪と母親の捜索の協力を求めたことで、事態が動き出すのだが・・。

 もう一つの見所が、生真面目な警部バーバラのプライベートと、アーバス教授の後押しだ。最初は、お互いにぶつかりあっていたバーバラとアーバス教授だが、教授はすぐにワーカホリックのバーバラが息子との関係修復に悩んでいること指摘、さらには、バーバラがイケメンの鑑定医であるテオドール・ベラン(ミシェル・コーエン)に好意を抱いていることを見抜くと、小姑のようにしつこく2人の仲を取り持とうとバーバラをけしかける。
 まあ、このやり取りはかなり楽屋落的な部分があるのかもしれない。

 驚くかもしれないが、アーバス教授役のミュリエル・ロバンとバーバラ役のアンヌ・ル・ネンは、女性同士のカップルで、2021年に正式に結婚した夫婦なのだ!(笑)
 もともとモデルで格闘技の経験をもちながら、女優に転校したアンヌ・ル・ネン(バーバラ役)はレズビアンらしく、2006年からミュリエル・ロビンと同棲。2009年にシビル・パートナーシップを結び3、2021年2月20日にリュエイユ・マルメゾンで結婚したという。
 2人は揃って、2019年11月23日、パリで開催された性差別と性的暴力に反対するデモ行進に参加した。
 ミュリエル・ロバンさんのほうは、女性、男性ともに付き合ったと言っているが、アンヌ・ル・ネンとの結婚については「男性、女性、そしてまた男性と付き合いました。今日、女性と一緒にいるのは、ふさわしい人を見つけたから」とインタビューで答えている。
 
 本作は、好評だったようで、すでにシーズン2も予定されているとのことなので、2人が、この先どのようなお茶目な関係を展開するかも期待できるポイントだろう。

By 寅松