海外ドラマ

警視ファン・デル・ファルク アムステルダムの事件簿 シーズン2

どうやら、オリジナルのキャラは忘れたようだが、チームワークが一段と向上!

Van der Valk Series2
2022年 イギリス カラーHD  105分 全3話 Company Pictures NL Film & TV / ITV AXNミステリーで放映
原作:ニコラス・フリーリング クリエイター:クリス・マーレイ 監督:ジャン・ヴァン・デ・ヴェルデ、アンドレ・ファン・デュレン、ロヨラム・ルールセン
出演:マーク・ウォーレン、メイミー・マッコイ、エマ・フィールディング、ルーク・アレン=ゲール、エリオット・バーンズ・ウォーレル、ダレル・ドゥシルバ ほか

 前シリーズが人気を博したイギリス人作家/イギリス人俳優によるオランダ/アムステルダムの刑事ドラマ、第2弾。
 もともとは、60年代に書かれたニコラス・フリーリングのミステリー・シリーズで、主人公のファン・デル・ファルクは絵画の教養に長けた、渋い刑事であった。しかし、2020年からITVがリメイクしたこのシリーズでは、イケメンでどう考えても体力派のマーク・ウォレンが主役で、オリジナルとはかけ離れてしまっている。
 前シリーズでは、一応絵画の教養なども振りまいて見ていたが、そぐわなさに諦めたのか・・・、本シリーズからはオリジナルのキャラは「忘れ」ることにしたようだ。
 そのへん全く気にしなければ、十分楽しめる。
 イケメンでやたらに女にはモテるのに、気持ちを伝えるのが不器用で傷つけてしまうファルク警視と、ファルクのことをまるで母親か女房のように心配してくれるが、自身はレズビアンというルシエンヌ・ハッセル警部補(メイミー・マッコイ)。
 それを取り囲む、ブラッド(ルーク・アレン=ゲール)、クルーバス(エリオット・バーンズ・ウォーレル)、監察医ヘンドリック(ダレル・デシルバ)、そして本部長のジュリア(エマ・フィールディング)は、前シーズンよりさらにチームとしての一体感が高まっているように見える。
 このシーズンでは、今まで頭の回転が早くクールではあるが、あまり自分のことは語らなかったジョプ・クルーバスが、家族に問題を抱えていることなどが描かれる。
 さらにファン・デル・ファルク自身も、実は外科医でもある金髪美女、レナ(ルス・ハーフェコート)と付き合いはじめ、3話目ではついに「次の段階へ」とまで思い始めるのだが・・。
 
 今回も3話は、1話づつ100分以上なので、ほぼ映画3本のボリューム。3本とも別のオランダ人監督が手がけているので、雰囲気はだいぶ違う。
 1話目の「アムステルダムの苦難」<Plague on Amsterdam>は、前シーズンの最終話(ファンション業界のブロガーの事件)を監督したジャン・ヴァン・デ・ヴェルデ担当した、女性弁護士殺人事件。その遺体は、アムス郊外の風力発電施設にはり付けられ、ポケットには暗号で書かれたメモが・・。ファン・デル.ファルクたちは、背景に強引な土地開発を主導する業者と、占拠している土地から追い立てられた、ヒッピー芸術集団の対立があることを見つけるが・・。ラストはちょっとかわいそう。
 2話目「アムステルダムの血」<Blood in Amsterdam>は、オランダらしくこの地で代々反映しているダイヤモンド商で莫大な資産家、カイパーズ一族の3人の子供達の家に、それぞれウォータージェットで綺麗に切断した遺体が届けられる話。猟奇的な出だしで興味は引くが、結局なんの必要があったのか不明の犯罪。驚かせるオチも、その理由では難ありだ。
 3話目の「アムステルダムの報復」<Payback in Amsterdam>は、性的被害女性を支援する目的のチャリティー・コンサートに出演するはずだった若手の美人チェリストが、公衆の面前で顔面に硫酸をかけられて死亡する事件。背後には、オランダの政界、警察法曹界、ビジネス、スポーツなどの分野の顧客相手に未成年を供給してきた悪辣な売春組織を運営してきた男の影が・・。
 はっきり言って、この話だけ突出して面白い。アメリカで少女たちを大量に、政治家、富豪、有名人に供給してきたトランプの友人の悪徳富豪ジェフリー・エプスタイン事件を思い出さずにはいられない。
 ファン・デル・ファルク自身は、組織の実働部隊であるイヴォ(カイ・グライドネス)にボコられるが、草薙素子ばりのルシエンヌは、「ほら、チャンスをあげるから銃を抜けば」と挑発して一発ぶち込んでくれる。マカロニか!
 警察情報筒抜けの危機も、本部長ジュリアの「署外でやりなさい、得意でしょ?」という物わかりの良さで回避して、最後まで辿ってみればやっぱりとんでもない上のやつが協力してましたー!
 それにしても、こんな悪い奴も富豪だし、裁判で上手いことやるのかと思っていると最後の最後に驚きの報復劇。なんか、これでこそ当然な感じでスッキリします。
 
 ようやく最後まで見て、見た甲斐があるシリーズでしたね。

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By 寅松