暗数殺人

チュ・ジフンの狂気がえぐいが、キム・ユンソクの淡々としたねばさもぐっとくる!

암수살인/Dark Figure of Crime
2018年 韓国 110分 295 Films/Blossom Pictures/Showbox、Amazon Primeほかで視聴可能
監督:キム・テギュン 脚本:クァク・キョンテク、キム・テギュン
出演:キム・ユンソク、チュ・ジフン、チン・ソンギュ、チョン・ジョンジュン、ホ・ジン、ペ・ヘソン、イ・ポンリョン、クァン・ソヒョン、ホ・ジン、チュ・ジンモ ほか

 最近見られるようになった気がするが、Amazon Primeではもうすぐ終了の作品入り!本国では多数の賞を受賞した問題作である。実際にあった、連続殺人告白事件を『火山高』『クロッシング』の名監督、キム・テギュンが映像化した作品。
 何と言っても、唖然とするような犯人、カン・テオ(チュ・ジフン)の狂気じみたキャラクターが秀逸だ。ジブンは熱の入った演技で、見事にこなしている。一方、この男の告白で、人生を振り回される刑事、キム・ヒョンミンを演じのが『未成年』では、初めて監督もこなした、キム・ユンソク。非常に淡々とした態度の奥に、言葉では言い表せないような強い信念を抱いている刑事役を、これも過剰な演技を排して見事に演じている。最初から、最後まで、それぞれの役柄に深い理解力を持った、2人の俳優の対峙でドラマは進行する。
 釜山ヨンジェ署のキム・ヒョンミンは、もともと麻薬課の刑事で、カン・テオには、情報提供者ということで紹介される。カンはキム刑事に「頼まれて死体を捨てたことがあると」怪しい告白を始めた。漁港のうどん(カルグクス)屋で、金をくれたら話すといい始めるカンに、キムがはした金をくれて話をさせようとする矢先、殺人課の刑事が乱入し、カンを逮捕して行った。
 カンは、恋人殺しで捕まったのだ。カンは刑務所にいながらキム刑事に電話をかけて取引を持ちかける・・。「俺が殺したのは、一人じゃない。全部で7人だよ!」
 殺人課の刑事には喋らない、あんたにだけ話すよ・・と、カンはキム刑事に人間を7等分する方法や、それぞれの犯行を行った時期や相手について自慢げに話すが、肝心なところになると言葉を濁す。カンは、殺人課が起訴に使用した証拠はでっち上げで、気に入らないという。殺したことは事実だが、本当の証拠があるのは、この場所だと、キムに証拠を探させたのだ。
 カンの指定した場所から、容疑のかかる恋人殺しの証拠を見つけて提出したキム刑事は、裁判で証言し、刑事課のメンツは丸つぶれ。カンは減刑を勝ち取ってしまう。いずれにせよ、一人の殺人の有期刑で、この狂ったサイコパスを後に世に放つことにになれば、必ずまた犠牲者が出ると信じるキム刑事は、殺人課への移動を申し出て、カン本人から情報を引き出して、他の殺人を立証しようとする戦いに挑む。

 次第にサイコパスであるだけでなく、刑法の詳細にも精通し、異常に知能が高いカンの本性が露わになってゆく様が、なかなか恐ろしい。それに対する、キム刑事の方の人柄は抑えた描写で描かれる。仮名とはいえ実在の人物なので、作りすぎないように配慮した部分もあるだろうが、この淡々とした描写が、リアリティーを高めるのには大変役立っている。
 彼の個人的な部分は、今は、駐車場で働く、キムの先輩刑事ソン(チュ・ジンモ)との会話の中だけで説明される。
 キム刑事は、交通事故で妻を亡くし、今は独り身で失うものもあまりない。
 刑務所の中のカンに要求されると、ものを買って行ったり、金を振り込んんだりしてしまって、日本なら即アウトなので、少々あっけにとられるが・・、裁判でその点をつかれても「金に余裕があったので払った」などと、さほど気にしていない。キム刑事の一族は、それなりに裕福らしい。父親の事業を引き継いて経営しているのは兄で、金は兄に融通してもらっているのだ。
 「兄は経営が楽しく。俺は捜査が好きだから刑事をやっている」と淡々と話してしている。こいつはとぼけたやつなのかと思うと、「今では、犬がいなくなっただけでも家族は大騒ぎする。いなくなっても、誰も探してやらなかった被害者が、可哀想なだけだ・・」と、最後まで一人で捜査をやめない信念をポツリともらすのだ。
 「暗数殺人」の「暗数」とは、届け出があった殺人事件に埋もれて統計上もカウントされない無届けの殺人事件を指すようだ。

 殺人課から追い出されそうになったキム刑事が、やや焦って状況証拠を積み上げた、男性殺しの裁判では、カンは無罪を勝ち取るのだが・・・、殺人課からナムポ洞の交番勤務に格下げされたキム刑事が片付けの途中に見つけた、白骨遺体の間の奇妙な十字の物体が突破口を開く!

 キム・ユンソクのキム刑事とともに、なぜか巻き込まれ最後までついて行くことになる後輩のチョ刑事は、『エクストリーム・ジョブ』でも頭は悪いが、腕っぷしはバカ強く、なぜか絶品のチキンを生み出してしまったマ・ポンパルを演じてた、チン・ソンギュが。キム刑事が、唯一相談した先輩で、今は駐車場係のソンを、「ウォッチャー」で悪辣な警察庁次長パク・ジヌを演じたチュ・ジンモが演じていた。二人ともとても警官らしい顔なのだろう。

By 寅松
 
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