心配性刑事ワーグナーの捜査

心配性デカというより、神経症のお坊ちゃんデカです!

César Wagner Season 1
2020年 フランス カラーHD 90分 全3話 Incognita、FranceTV/France 2 スーパードラマ!TVで放映
脚本:エリック・ヴェラ&セバスチャン・パリ 監督:アントワーヌ・ガルソー
出演:ギル・アルマ、オリヴィア・コートル、コラリー・リュシェ、ソフィアン・ゲハブ、ジョセフィーヌ・デ・ミオーほか

 ちょっと間延びしたフレンチミステリー!フランスではヒットして、シーズン2も決まっているらしい。「ハンサムで、サッカーが得意なスポーツ万能、スタイル抜群なのに、健康状態に対する過度の不安からいつも薬が手放せない心配性のワーグナー警部」とAXNミステリーのサイトにはあったが、これでは、どう考えてもヘンテコな人物設定だ。
 舞台は、フランス東部、アルザス地方の古都ストラスブール。世界遺産に登録される美しい街並みで、ブリュッセルと並ぶEUの中心都市。欧州人権裁判所、欧州評議会など本拠がある。歴史的になんどもドイツ領とフランス領を行き来したために、文化的にもフランスというよりややドイツ的で特色がある。
 主人公のワーグナー警部(アルマ)は、リヨンからこの街に配置転換になったばかり。見た目はハンサム、背も高いし、どうやら過去にはサッカーの神童だったらしい。しかし、やたらに身の回りの衛生や病気への感染を気にしてばかりで、能力があるのかないのか、部下たちにも皆目見当がつかない。
 現場で遭遇した、肉食系熟女の監察医エリーズ・ボーモン(オリヴィア・コートル)が、早くも目をつけて迫るが、ワーグナーの方は若干迷惑顔。だが、次第にこの男の背景がわかってくると・・。
 ワーグナーは、街の名門の出身で、街を束ねる女性市長マリアンジュ・ワーグナー(フェニー・コテンコン)の息子だったのだ。神経症なだけでなく性格的にも大真面目なワーグナーは、どうやらリヨンで上司の不正を告発してしまったために、冷や飯食わされることに。仕方なく母親が政治的な力で、地元に呼び戻したということらしい。
 ワーグナーの潔癖症で、神経症的に病気を恐れるキャラクターは、取ってつけたようで感心しないが、育ちが良いがために、様々な周囲の圧力屈しない大真面目な人格であるところは、それなりに納得できる。
 そこがこのドラマの肝で、政治的にも法律的にも非常に縛りが多いフランスの実際の司法において、まともに真相を追究する刑事を描こうとすると、こういう背景が必要になるのかもしれない。そういえば「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」でも、ラファエルの父親は警察上層部の人間だった。セザール・ワーグナー(セザールは、フランス語で”シーザー”のこと)なんて名前は、そもそも日本人でいえばどこかの殿様みたいな名前なんだと思う。

 第1話では、地元のサッカーチームで将来を嘱望される、移民出身の若者が突然死した事件。第2話目は、ルーマニア人の若い女性が、体の血を全て抜かれた死体で発見される事件。第3話目は、街を代表する有名デザイナーのパーティーで死亡した画商の女性と、川から発見された将来有望な若いデザイナーの死亡が繋がる話。
 1話目と3話目は、同じように盛り上がりがなく、間延びした感じの捜査を続ける中、最後に急転直下解決を見るパターン。サスペンスとしては、へぼすぎだが、1話目では、ワーグナーと監察医ボーモンの駆け引き、3話では一応付き合い始めた感じのワーグナーとボーモンだが、実はボーモンが結婚していた事実が判明してワーグナーが内心もやもやするという、恋愛要素もフィーチャーされている。
 しかし、なぜか2話目だけは、犯罪自体も恐ろしく、大企業による環境破壊や、フランスの中にあって治外法権のEU管轄の人権裁判所が絡むために生じる捜査の壁、背景に見え隠れするルーマニアの民族文化なども良く処理されており、さらに展開もなかなかスリリング。サスペンスとしても楽しめる。
 全作とも、脚本家はエリック・ヴェラとセバスチャン・パリの連名になっているが、作品によって主導している人物が違うのかもしれない。

 主役のアルマとコートルの他にも、ワーグナーと同時期にマルセイユ(たぶん、フランス一ガラが悪い街)から転属してきた、ワーグナーの部下レア・サケヴィッチ警部補(コラリー・リュシェ)も元ヤンっぽさがリアルでいい。最初はワーグナーを信用しないもう一人の部下、ベラージ警部補を演じるソフィアン・ゲハブは、Neflixの「Lupin/ルパン」のユセフ・ゲディラ役で有名になった。
 日本では、3本でシーズン1として放映したが、本国ではすでに2本がシーズン2として決まっているようだ。

By 寅松

日本語トレーラー

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