The Witch 魔女

若い頃の川上麻衣子みたいなキム・ダミのギャップのある残酷ぶりはプリティー!

마녀/The Witch: Part 1. The Subversion
2018年 韓国 125分 Gold Moon Film Production/ワーナー・ブラザース Netflix、Amazon Primeほかで視聴可能
監督:パク・フンジョン 脚本:パク・フンジョン 撮影:キム・ヨンホ
出演:キム・ダミ、コ・ミンシ、チョ・ミンス、チェ・ウシク、パク・ヘスン、チェ・ジョンウ、チョン・ダウン ほか

 いろいろ話題があったヒット作のようだが、話の骨格に新鮮味はない。少女に超能力や殺戮能力を持たせる話なら、日本の漫画/アニメ界では定番のストーリーだし、脳を10%しか使っていない人間を改造して100使用したらどうなるんだー?というお馴染みの言説を美女にやらせたのは、『ルーシー』のリュック・ベンソンが先。美少女を殺人兵器に育て上げたのは、ジョー・ライトの『ハンナ』の方が先だし、まだ幼さの残る美少女が、魔女の能力が覚醒させる恐ろしい話はヨアキム・トリアーの『テルマ』が先にある。
 パク・フンジョンの脚本のオリジナリティーは、せいぜいそれらすべての要素をミックスして、韓国の田舎臭い女子高生が覚醒する話に仕立てたことだろう。
 登場人物はすごく少なく、話も非常に一直線。まるで北海道のような韓国のど田舎で、農場の娘として育っているジャユン(キム・ダミ)は、実は少女の頃にその酪農家の牧草地で倒れれているところを助けられ、この年まで育てられたという過去がある。

 彼女は完全に記憶をなくしていて、なぜそこにいたかはわからないということになっているが、実は彼女は遺伝子操作研究プロジェクトで生み出された超能力人類で、血みどろの一夜があってそこを逃げ出してきたようだ。彼女を生み出した責任者であるペク博士(チョ・ミンス)は、彼女の確保に失敗したのち「どうせ、脳が暴走して、あの子は長くは生きられない」と高を括るのだが・・・。
 前半の話はほぼ、田舎で育った健気な女子高生の日常である。彼女を育ててくれたク夫婦はもともとアメリカで成功した建築家で、事故で子供を亡くした悲しみから韓国に引き上げて、自然の残る土地で酪農家を始めた変わり種。その設定のため、田舎の酪農家にもかかわらず、まるで韓国の農村とは思えないモダンな家に住んでいる。(2階に吹き抜けになっている大きな居間があるこの家は、のちのアクションに必須だったのだろう・・)しかし、牛の価格暴落で農場は経営危機に。優しい母は、若年性アルツハイマーの症状が出ていた。
 さらに、ジャユン自身にも時々堪え難い痛みが襲う。両親に内緒で受けた医師の診断では、(実の親を探し、完全にHLAが一致するドナーの)骨髄移植を受けない限り、これ以上の生存は見込めないという。

 ジャユンは調子がいい親友のミョンヒ(コ・ミンシ)にそそのかされるまま、優勝賞金が5億ウォンという、オーディション番組に出演。前半、このなんとも田舎の女子高生青春話が長い。
 予想どうり・・、ジャユンは歌も天才的でオーディションを勝ち進むが、TVに出たことで、彼女を発見した組織が動き始める。
 最初の方では、なかなかその辺は見えてこないが、同じ組織の中でも彼女の生みの親であるペク博士と、プロジェクトのセキュリティー担当のミスター・チェ(パク・ヒスン)にはもともと意見の齟齬があるようで、それぞれにジャユンをつけ狙う。
 最後は、誰でも予想する通り、2チームとジャユンと三つ巴のアクションだ。
 話の方は単純なので、見せ場はこのアクションの残忍さ。あとは、どう見ても田舎女子高生だったジャユンが、最後に見せる恐ろしい素顔のギャップといったところだろう。ジャユンは、そもそも何も知らずにオーディションに出てしまい、組織に発見されたのではなかったのだ・・・。

 この映画で第55回「大鐘賞」、第39回「青龍映画賞」など韓国の権威ある映画祭で軒並み新人女優賞を獲得。カナダの第22回「ファンタジア国際映画祭」でも最高女優賞を獲得したキム・ダミのアクションは強力!もう一人の美少女アサシン、キンモリ(チョン・ダウン)のアクションもすごいので、要するにアクション演出のレベルが、段違いということですね。完全に世界レベルである。
 面白いのは、主演のキム・ダミがどう見てもややブサイクで、頑張ってもすごく若い頃の川上麻衣子にしか見えないこと。(笑)お調子者も親友を演じたコ・ミンシンの方がよほど韓流スター顔だ。
 しかし、このキム・ダミは、整形感もないこの素朴な顔だからこそ、最後の不気味さが活きてくるし、アクションとのギャップも大きい。さすがに、世界スケールで映画を構成しているパク・フンジョンの認識は、古臭い韓流ものとは一線を画している。
 英語タイトルを見ても分かる通り、本作は明らかに何パートかで構成される作品の1作目で、最後まで見ても次回作へのブリッジを見せられるだけである。一応パート2も制作されつつあるようなので、「2」が公開されてからNetflixあたりで一緒に見る方がフラストレーションがたまらないかもしれない。

By 寅松

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