マクドナルド&ドッズ 窓際刑事ドッズの捜査手帳 シーズン2

小役人風のおじさん刑事は、いつのまにか名探偵に昇格か!

McDonald & Dodds Season2
2021年 イギリス カラーHD 105分 全3話 Mammoth Screen / ITV AXNミステリーで放映
クリエイター:ロバート・マーフィー 監督:アレックス・ピライ、レベッカ・ピライ、イアン・アリエ
出演:ジェイソン・ワトキンス、タラ・グヴェイア、ジェームズ・マーレイ、ジャック・リディフォード、リリー・サコフスキー ほか

 今年放映されたばかりの、英国版ほのぼの2時間ドラマ!英国で2020年に放映されたシーズン1に続いて、早くも今年放映のシーズン2が日本でも放映された。
 まさに2時間ドラマのテイストだ。日本の2時間ドラマも、雰囲気がのんびりしているからか?風景をみせるためか?京都を舞台にした刑事物検事ものが多い気がするが、古代ローマ時代から温泉リゾートであったサマセット州のバースを舞台にしたこの作品は、まさに日本の京都ものに似ている。

 前シーズンでは、ドッズ刑事(ワトキンス)のあまりのしょぼしょぼぶりに、懐疑的だったマクドナルド警部(グヴェイア)も、なぜかシーズン2になると最初からドッズの能力には全幅の信頼を置いているようだ。ピンチになると、「あなたが、なんとかして」と素直にドッズの推理力に頼りきりで、自分は、同棲している水道屋の夫の素行が気になって仕方がない。
 直接の上司のマクドナルドにも、周りのあまりに年の離れた若い刑事たちにも、一応の信頼を勝ち得たかに見えるドッズに立ちはだかるのは、相変わらずバース署のトップ、ホースマン(マーレイ)警視正。しかし、このシーズンで、外面ばかり気にするこの薄っぺらいイケメン警視正がゲイで、パートナーが男性医師であることが判明する!(なんだそりゃー)今回ホースマンは、突然所内で抜き打ち身体検査を行い、健康に問題のある刑事を辞めさせようと画策する。毎日フライド・ポテトにバターをつけて食べているドッズを標的にしたもので、マクドナルドも大慌てでドッズのバター取り上げてマーガリンに変えさせようとしたりするのだが・・・ドッズはキョトン!検査結果を持って来たドッズは、とぼけた顔で「なんと20代の健康状態でした」と笑わせてくれる。
 シーズン2からマクドナルドのチームに配属されたらしい、下っ端刑事のお嬢さん、ミレーナ・パチョコフスキー(リリー・サコフスキー)は、すっごい美人さんだが、コミュ障でアスペ気味。同僚になったクレッグ(ジャック・リディフォード)は、見るからに彼女にゾッコンだが、彼女の方は完全スルーだ。(このくだりは必要なのかね?)

 今回は3作品で、事件も1話づつ3事件。第1話<The Man Who Wasn’t There>は、5人で気球飛行中に一人が転落死した事件で、実は残りの4人は40年近く前の80年代にロンドンで共同生活をし、時代の最先端としてもてはやされた若者たちであったという事件。ドッズととても気の合う、細部に細かい航空事故調査員のロイ・ギルバート(ダニー・ボイルの「TRUST」ではちょこっとだが、ニクソン大統領を演じていたロブ・ブライドンが演じる)が登場する。
 2話目の<We Need To Talk About Doreen>では、北部イングランドから来た、親族・友人同士の非常に不釣り合いな女子会御一行様が、地元サッカーチーム所有者の豪邸で開かれたパーティーに参加していた時間に、選手の一人が近くのトンネル入り口で死亡していた事件。「のろまなドリーン」と呼ばれた取り巻きの一人(シャロン・ルーニー)が実は、驚くべき知能の持ち主であることに、ドッズだけが気づく。
 3話目の<The War of the Rose>は、セレブ生活を公開してバースで人気のユーチューバー&インフルエンサーのローズ(ロージー・デイ)が、整形外科の手術中に命を落とした事件。ドッズは抜群の記憶力で、「テディ・ペンダーグラスのレコードを聴いた・・」という一言から嘘とトリックを見破って行く。
 どれもトリック&真相は大変技巧的で、よく言えば往年の名作推理小説的であるが、逆に言えばリアリティはほとんどない。ただ、3話ともトリックが面倒なだけあって、最終的な仕掛け人は天才的な人物が登場する。しかし、それぞれにあまり天才には見えない人たちで、彼らとある意味同じように天才には見えない小役人風ドッズ刑事が、天才的推理で犯人を特定するのが見せ場である。
 イギリス版コロンボという評判もあるが、ドッズは人物的にはコロンボとはだいぶ違う。コロンボは(ある意味アメリカの潜在的な階級差別を利用して)自らを、わざとイタリア系のうらぶれた刑事に見せかけている。彼を見下している、ロサンゼルスの大金持ちやセレブたちを油断させて、しつこい質問を繰り返し、最後に彼らの悪事を暴くという、なかなか意地の悪い頭脳プレイがそのスタイルだ。
 ドッズの方は、コロンボのように自分を隠しているわけではなく、ほぼ天然のおっさん。ただし、理路整然と物事を整理し、些細な点も見逃さない几帳面さで事件の真相を見つけ出すので、その辺は毒気がない。とにかく、安心して見られることは間違いない。

 もちろん、今回も一番素晴らしいのは事件ではなく、ドローンで撮影されたバースの見事な景色の方である。

By 寅松

日本語版トレーラー

(1話目のトレーラー)

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