ウェイステッド

イングランドの田舎の若者たちが無為に日々を過ごす!下品極まりない青春コメディ!

Wasted
2016年 イギリス カラーHD 22分 全6話 チャンネル4 Amazon Primeで視聴が可能
クリエイター:ジョン・フォスター、J.D.ラモント 監督:トム・マーシャル
出演:ディラン・エドワーズ、ダニー・キラーン、ローズ・レイモンド、グィネス・ケイワーズ、ショーン・ビーンほか

 よくあるタイプのコメディといえばいえば、それまでだが徹底していて面白い。
 アメリカにもけっこう絶望的な田舎で暮らす若者の日常を描いたコメディーがある。ま、ジャレッド・ヘスの『ナポレオン・ダイナマイト』(「バス男」)などが典型だと思うが、やっぱり日本人からするとヒリヒリする絶望感が勝っている感じがある。最近は日本のドラマでも、同様の趣旨のドラマが出てきていて、例えばテレ朝で小芝風花が主演した『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』(2019 TV朝日)なんかは、茨城の田舎で青春を送る若者の絶望?を日本的なほのぼの感で上手く表現していたと思う。
 このドラマも、構造自体は「田舎+若者=何にもすることがねえ!」ドラマなのだが、その舞台が特徴的だ。まるでイギリスの美しい村コッツウォルズみたいな、観光地として素晴らしい田園と村が舞台。住民のほとんどは、実際裕福な高齢者なのだろうが、そこでは、マイノリティーの20代の若者たちはどんな生活をしたらいいんだ?みたいなドラマである。ギャグは下品極まりないけれど、アメリカ的なヒリヒリ感はなくて、そこはかとなく諦めにも似たペーソスが漂っている。その意味では、日本人にもよく分かる気がする。
 ドラマは、ブリストルでDJになるつもりだった(見た目は少しイケてる)ケントが、自分の故郷=西部イングランドの架空の村ネストン・ベリー(実際には、ブリストル、バースから少し南西にくだった、ヨービル近郊を想定しているらしい。ドラマ中、夏場にフェスが行われる場所が出てくるが、英国の有名なロック・フェスが行われるグラフストンベリーも近くである)に戻ってくるところから始まる。
 ケントは、家ではなく仲間のたまり場である土産物屋(水タバコ屋)兼タトゥーショップに直行。そこには昔からの3人の仲間が相も変わらずたむろっていて、親友のモーフィアスは大喜びする。ドラマは基本この4人の仲間の日常を描くことになる。
 DJになる夢に敗れたケントは口先だけの男だが、地元に戻って嫌々近所の鳥類保護施設で再び働き始める。モーフィアスとサラは兄妹で、相続した土産物屋を営んでいるらしい。店の名前は、「ストーン(ド)ヘンジ」となっていて、「ストーンヘンジ」じゃない。(「ストーンド」とは、酒で泥酔したり、ドラッグで「キマった」状態を指す。)デブでオタクのモーフィアスは、童貞でファンタジー好きで、妄想の中で自らの潜在意識に住み着いた俳優ショーン・ビーンに教えを請う。サラは、神経症気味なところがあり、世界に出て行くことを夢見るが実行しない。以前ケントとつきあっていたが、今は自然消滅している。2人の店でタトゥー・アーティストをしているアリソンは、見た目はかわいいが隠れビッチで、ドラッグ・ディーラーのホーリーと付き合っている。
 『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』や『ゲーム・オブ・スローンズ』で知られる、浅野忠信似の大物俳優ショーン・ビーンは、ゲーム・オブ・スローンズの中世衣装でモーフィアスの妄想の中に現れて、呆れながらアドバイスをしてくれる。
 ドラマでは、毎回イギリスの郊外の典型的なアイテムが登場する。
 地元のパブで行われる「パブクイズ」やサンデー・ランチ。地方のロック・フェスの時に、取り締まりを恐れて地中に埋められたドラッグの伝説。クラブのある都市バースまで行って飲みまくるが、帰りにサラが吐いてしまいタクシーを下ろされて、4人が延々と歩いて帰る話。その田舎でようやく店を見つけると、やはりインド料理店であるというあるある!イギリスの地方に行くとやたらにある村おこし、○○マン・フェスティバルみたいなやつ。(ウィッカーマンを思わせるが、劇中では、植物と人間の合の子ベリーマンの祭り)。お屋敷ホテルみたいなところで行われている、乱交パーティーなどなど。
 どれもいちいち下品極まりないギャグが満載のエピソードなのだが、保守的な田舎で暮らすやるせなさも伝わってきて、嫌な気分にはならない。
 イギリス好き、もしくはイギリスの田舎に行ったことがある人には、特におすすめである。観光ものとしても少し楽しめる。(笑)
 このあいだまで有料であったが、最近プライム会員は無料で見られるようになった。

by 寅松

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