インターセプター

O・T・ファグベンルが演じる主人公、アッシュはちょっとヤング、ジョン・ルーサー的カッコよさ!

The Interceptor
2015年 イギリス カラーHD 60分 全8話 BBC One Amazon Primeで視聴が可能。
クリエイター: トニー・セイント 監督:ファレン・ブラックバーンほか
出演:O・T・ファグベンル、ユアン・スチュワート、ジョ・ジョイナー、ロバート・ロンズデール、アンナ・スケラーン、ジャニー・スパーク、ロレイン・アッシュバーン、トレヴァー・イブほか

 主人公のアッシュは、もともと下層階級の若者で、薬物がらみで父親が相手を撃ち殺して逃げ去るところを目撃して以来、街にはびこる麻薬犯罪を憎んでいる。以前は空港の税関で働いていたが、今は税関のエージェントとして、相棒のトミーと共に街に出回る前の麻薬を捕獲するために捜査をしていた。しかし、捕まるのは末端の売人ばかり。いつまでも、麻薬犯罪のトップにたどり着けないことにイライラを募らせていた。そんな時、囮捜査の最中に相棒のトミーが取引相手に拉致され、歩けなくなるかもしれない重症を負ってしまった。現場で待てと指示を出したアッシュは、それを無視して捜査員を投入した上司に食ってかかるが、相手は処分をちらつかせる。
 意気消沈しパブで呑んだくれていたアッシュの元に、カートライトがやってくる。勝手に税関の上司だと思い込んだアッシュが、処分ならさっさと言えと吐き捨てるが、カートライト(スチュワート)は「処分の代わりに君に仕事を与えよう」と言って名刺を渡す。それはカートライトが主導する、政府の秘密プロジェクトUNITへの勧誘であった。UNIITの本拠に出勤したアッシュは、元の上司でどうやらこのプロジェクトに推薦してくれたらしいベリンダ(「埋もれる殺意〜26年の沈黙〜」ほかのアッシュバーン)と再会する・・。
 麻薬潜入捜査のドラマだと誤解して解説してるものもが目立つが、UNIT自体の仕事は、携帯電話やメールの監視という、いわゆるインテリジェンス(スパイ)活動だ。末端の売人を捕まえても、一向になくならない麻薬犯罪に対して、テロ対策で可能となった、一歩間違えばプライバシーの侵害になりかねない各種端末の監視技術を適応し、成果をあげようというプロジェクトである。
 ドラマは、実際に元税関/英国重大犯罪局(SOCA)の職員で、電話と端末の監視によりドラッグなどの英国の重大犯罪を取り締まるというアルファプロジェクト・ユニットに加わっていた、キャメロン・アディコットが共著者クリス・ホリントンの協力を得て2010年に発表した著作<The Interceptor>をベースにしており、リアリティも確保されている。ただ、監視だけではドラマにならないので、すぐに組織を無視して、目の前の危機に体当たりしてしまうアッシュを主人公に物語は展開する。
 O・T・ファグベンルが演じる主人公のアッシュは、家庭もあり、あれほど強烈ではないにしろミニ・ジョン・ルーサー的でかっこいい!
 ジョン・ルーサーは、妻もインテリで中産階級的だったが、アッシュは父親ももともと売人で明らかに下層から起き上がってきた人物だ。妻ローナ(「イーストエンダーズ」のジョー・ジョイナー)は、元警官の娘で、危険な仕事には理解を示そうとしない。昔からの仲間も、あまり役に立たないが、気がいいトミー(ランスデール)やら、売人の手下になってアッシュに迷惑をかけるアレックス(セミプロのサッカー選手で俳優のラルフ・リトルが演じた)など、いかにも街場にいそうな奴ばかり。
 ちょっと見が、なぜかキング・クリムゾンのロバート・フィリップを思い出す、責任者のカートライト。セクシー系を引き受けて、オーストラリア人女優アンナ・スケラーンが演じる、キム。麻薬組織のいつも憂慮が絶えない黒人の番頭(No.2)、ドッカー(ゲイリー・ビーデル)など。脇役の描写もなかなかするどい。
 大傑作とまでは言わないが、十分にシーズンを続けるべきドラマだったと思われるふが、(ファグベンルによれば)BBCの経営環境の変化の犠牲となって、惜しくもシーズン1で打ち切りとなってしまった。
 あー、妻に追い出されてて最後にようやく家に帰ったアッシュが見たのは!?その後が気になりすぎる終わりだけど、どーしてくれるんだ!

by 寅松

 これもすごい曲というわけじゃないけど、毎回オープニングとエンディングにながれるので、どーしても覚えてしまうタイトル曲。2012年にメジャーデビューした英インディーズ・バンド<alt-J>が2014年にリリースした9枚目のシングル、<Left Hand Free>という曲で、今のロンドンの路上の雰囲気は良く出ていると思う。

alt-J – Left Hand Free