不良探偵ジャック・アイリッシュ 死者からの依頼

妻を理不尽に殺害されて、不良?になった、やさぐれ探偵の結構後ろ向きの活躍!

 

Jack Irish: Bad Debts  
2012年 オーストラリア カラーHD  90分 ABC1(オーストラリア) Aamazon Primeで視聴可能
監督:ジェフリー・ウォーカー 脚本:アンドリュー・ナイト 原作:ピーター・テンプル
出演:ガイ・ピアーズ、マルタ・デュッセルドープ、アーロン・ペターゼン、ロイ・ビリング、ダミアン・リチャードソン、ショーン・ヤコブソン ほか

 人気俳優、ガイ・ピアーズを看板にした、オーストラリアの探偵ドラマ・シリーズ第1作である。最初の3作品は、それぞれフルレングスのTVムービーとして放映された少々特殊なシリーズだが、現在では通常のTVシリーズとなり、2016年のシリーズ1が9作品、2018年のシリーズ2が6作品、すでに放映されている。
 メルボルンの弁護士のジャックは、モデルさんのような美人のお奥さんと結婚し、ラブラブの毎日を送っていたが、交通違反で訴えられた依頼人が逆恨みで乗り込んできて、突然妻を撃ち殺してしまう。それ以来、ジャックは人が変わってやさぐれてしまったのだ。
 今では競馬の掛け率操作が趣味の金貸しの下で、債権回収をしながら、家具職人に弟子しりして毎日木材を削る日々。そんな彼の留守電に、10年前に担当した依頼人ダニーから「すぐに会いたい」という電話が入っていた。折り返してみるとダニーはすでに殺されており、殺した相手は警官だった。ダニーには前科があったが、今では更生し家族を大事にしていた。10年前の担当時は、妻が死んでよれよれだったし、今回も電話を取れなかったジャックは責任を感じて彼の葬儀に参列するが・・・、ダニーの妻からは、夫は「彼をはめた証拠を持っている」と言う匿名の電話を受けてから殺されたと聞かされ、仕方なく真相を探り始める。
 捜査の過程で知り合った新聞記者のリンダの助けもあり、単なる警官による殺しだと思われた事件は、地域再開発の巨大プロジェクトにつながった。そして、真相に近づきはじめると、ジャックとリンダは命を狙われてしまうのだ。
 突っ込みどころも多々あるが、探偵物としての出来は中の中というべきか。強く惹きつける個性も見当たらないが、かといって見る価値がないと即断するほどの出来ではない。プロットはしっかりあって、十分楽しめる。オーストラリアのTVドラマであると考えれば出来は良い。
 ただ、日本語タイトルは難ありだ。タイトルとしては目を引くのだが「不良探偵」はないだろう。(笑)
 ジャックは、うらぶれて債権回収の下働きや、競馬オッズの不当な引き上げには協力しているが、家具職人を目指してたりして全く不良ではない。ただの失意の男だ。ちなみに原題の<Bad Debts>は「不良債権」のことなので、ジャックの手間賃仕事と、開発事業が巨大な不良債権になりかねない状況で起こる犯罪をかけているようだ。
 そもそも世界一住みやすい街、メルボルンで不良を気取るの難しいだろう。バカはいるかもしれないが、ともかく日差しが明るく、景色も美しい。なので、この地にも犯罪はあるのだろうが、どうもイマイチ凄みが足りない。原作は小説なので、このメルボンならではの要素も入っているのだが、この地のことを知らないと字幕だけではわかりずらい。
 オーストラリアのなかでもメルボルンという街は、地元の特殊なフットボール「フッティー」<Footy>(オーストラリアンフットボールともいう)のメッカで、特に高齢者には熱烈なファンが多い。地元のパブで、年がら年中、過去の試合の話にふけっている老人たちは、当然のようにこのフッティーのサポーターである。実在かどうかは不明だが、彼らが愛していたのは消滅した「フィッツロイ」という地元チームのようだ。ジャックの父親は、このフィッツロイのヒーローだったようで、ジャックも老人たちに可愛がられているわけだ。(有名ロック歌手の息子で、うらぶれた探偵業を営む「私立探偵ストライク」を思い出すが、こちらの方がずっとあとなので設定をパクったのはローリングの方だろう)
 肉体派のガイ・ピアーズが演じているのに、(少なくとも第1作では)ジャックは全く腕っ節が強くない。では逆に、元弁護士として法律知識を駆使して捜査に役立てるのかというと、それも全く発揮しない。
 ねんごろになった女性新聞記者やら、弁護士時代のパートナー、情報をくれるベテラン刑事、腕っ節が強い金貸しの用心棒(アボリジニの血が入っている設定だろう、アボリオジ二の血を引くアーロン・ペターゼンが演じる)の力を借りて、どうやら危機を乗り越えるという、けっこう後ろ向きの探偵である。顔が広いのが、唯一のとりえというのは、設定としてはあるかもしれないが、ガイ・ピアーズ!の必然性はあったの?という疑問は残る。
 あと、少なくともこの作品ではリンダとジャックの熱いベッドシーンがけっこう長く出てくるが、ここまっでやるならもう少し(体の)セクシーな女優さんにして欲しかった!マルタ・デュッセルドープは知的で野心的な雰囲気なので新聞記者としては大正解なのだが・・・。

by 寅松

日本語版

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