ボブという名の猫 幸せのハイタッチ

ロンドン猫はジャンキーを救えるか!?

A Street Cat Named Bob
2016年 イギリス カラー スコープ 103分 Sony Picturesほか
監督:ロジャー・スポティスウッド 原作:ジェームズ・ボーエン
出演:ルーク・トレッダウェイ、ルタ・ゲドミンタス、ジョアンヌ・フロガット、アンソニー・ヘッド

 「♪世界は僕の肩の上 僕は美しい」とお気楽に歌ってるシンガーソング・ホームレス・ストリートミュージシャンのジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)は、ヘロイン中毒を克服するための更生プログラム中で毎日薬局へ行ってメタドンを一杯飲まなきゃならない。ソーシャルワーカーの手配で集合住宅の一室に住むことができた日、一匹の猫が迷い込む。猫は彼から離れようとせず、近所の女性が「彼はボブと呼ばれたがっているわ」というので、ジェームズはボブと一緒に暮らすことにする。ある日、バスにまでついてきたボブを肩に乗せたままコヴェントガーデンで歌うと大勢の観客が集まる。ジェームズとボブのコンビはストリートの人気者になるが、いいことは長く続かない。愛犬家の嫌がらせからケンカ騒ぎになり、ストリートで歌うことを禁止される。めげずに「ビッグイシュー」販売を始めると、ボブ人気もあって順調にみえたが、人気者すぎて縄張り違反になってしまい販売権を停止されてしまう……。

 実話の映画化だそうで、実際の茶トラ猫「ボブ」が自分を〝演じて〟見事な名ネコ演技を見せる。主演は『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』(2005)の双子ロッカー、ルーク・トレッダウェイで、最後に登場する原作者よりも、ドラッグ中毒のストリートミュージシャンらしさが出ていることは確か。まあ、道で寝ていてもギターは盗まれなかったり、タダで家(けっこう広い!)を与えられたり、やさしいソーシャルワーカーがいたり、近所に動物好きの美人(兄をドラッグ中毒で亡くした)がいたり、断絶していたはずの父も意外にいい人だったりと話がうまくいき過ぎの感はあるものの、イギリスでの福祉事情、ヘロイン問題やメタドンを毎日飲みつづけ止めるときには地獄の苦しみが待っているというドラッグからの更生の難しさをきちんと伝えている。

 70歳を超えたベテラン監督のロジャー・スポティスウッド(『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』)は、ネコ視点カメラまで駆使して若々しく楽しい演出を見せる。『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』(73)等の編集担当だったキャリアもあって、音楽部分の演出・編集も心地よい。
 客のひとりだった女性編集者によって本になり、「ボブ」シリーズは9冊を数えて総部数1000万部を売り上げたそうな(2018年現在)。「欲望という名の電車(ストリートカー)」をもじった第1作にして映画の原題「ボブという名のストリート・キャット」はお見事。映画では語られなかったが、実際には猫の名はデヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス』に出てくる悪の化身「キラー・ボブ」から名付けられたそうな。家族向け映画には隠しておきたい黒歴史かもしれない。 
 ちなみに、お父さん役のアンソニー・ヘッドは、ミュージシャン/俳優マレー・ヘッドの弟さん。ジェームズが歌う曲はロックバンド「ノア・アンド・ザ・ホエール」のチャーリー・フィンクが作り、主演のルーク・トレッダウェイが歌っている。

by 無用ノ介

 日本語版トレイラー

ニュースで取り上げられ、実物のボブも登場

(※現在この映画は、定額/無料配信サービスでは見られません。Amazonではレンタルと月額¥972のスターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-対象作品として視聴できるようです。)
現在、Amazon Primeで(会員は)無料視聴できるようになりました。(2019.7 追記)

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