刑事カーディナル 〜記憶に巣喰う虫〜 (シリーズ2)

カナダ発ダークサスペンスの第2弾は、夏のカーディナル!美しい緑の季節に見えるがよく見ると黒いハエがいっぱい!

Cardinal Series2: Blackfly Season
2018年 カナダ カラーHD 40分 全6話 CTV/BBC Four スーパードラマ!TVで放映
原作:ジャイルズ・ブラント、クリエイター:オーブリー・ニーロン 脚本:サラ・ドットほか 監督:ジェフ・レンフロー
出演:ビリー・キャンベル、カリーヌ・ヴァナッス、アレックス・パクストン=ビーズリー、ブルース・ラムゼイ、デボラ・ヘイ、グレン・グールドほか

 カナダ産の刑事ドラマ、「刑事カーディナル」のシリーズ2。シリーズ1は見ているだけで、こちらも心が冷えてくるような寒々しいカナダの風景満載だったが、今回は夏のカナダがドラマの舞台になっている。
 前作ではあれほど寡黙で、暗い雰囲気を出していたカーディナルも、今回は随分と明るじゃないか?季節が変わると、性格変わるのか?カナダ人!いやいや、それだけじゃないな。季節と関係あるのだろうけど、前シリーズでは危険な鬱状態で施設に入院していた双極性障害の妻、キャサリン(デボラ・ヘイ)が家に戻ってきているようだ。美しい湖のほとりで妻とのんびり過ごすカーディナルは、けっこう幸せそうだ。デロームの方は、前作でカーディナルをかばったことで、RCMP(カナダの連邦警察/王立カナダ騎馬警察)のマスグレイブから未だに嫌がらせをされたりしてるというのに。
 ドラマ全体のトーンも前シーズンの重苦しさはないが、事件の方はそれなりに恐ろしげなことが起こる。男に追われて、森の中を逃げれる若い女。彼女は背後から頭を銃で撃たれ、浅い小川に倒れこむ。場面が変わって、街道沿いのバー。若い女に絡む地元の若造達を追い払った、ネイティブ居留地担当のコマンダー刑事が彼女を助けるが、その赤毛の美女は、自分が誰であるか、どこから来たのかも、まったく思い出せないというのだ。病院での精密検査の結果、彼女の脳には弾丸の破片があり、それが記憶障害を起こしているということがわかる。捜査を引きついだカーディナルとデロームは、彼女をとりあえず「レッド」と呼んで、その障害事件の背景を探ることにする。
 夏のカナダの森は実に美しいが、それでも虫は出るんですね。今回はタイトルからわかるように蛆虫と黒蠅がモチーフになっている。なんでハエが出てくるかといえば、要するに誰かが死んでいるからだ。それでも、日本語タイトルから想像するようなおぞましい虫地獄は出てこないからご安心を。
 その代わり、レッドの断片的な情報をもとに森歩きを断行するカーディナルとデロームが小川の側の洞窟の中で見つけたのは、切断された遺体を吊るした、黒魔術の祭壇のような凄まじい現場だった。何かとんでもないことが起こっているらしい。
 一方カーディナルの心配事は捜査だけではない。妻の状態は今度は躁転しているのだろう。非常に前向きで、専門の写真のワークショプに講師として招かれてトロントへ出かけて行ってしまう。どうしても心配なカーディナルは仕事にかこつけて彼女の講義現場を訪ねるが・・。
 カナダらしい社会問題なのだろう。このシリーズにはネイティブ・カナディアンの集落やその人々がよく出てくる。今回の事件も背景には、ネイティブ・カナディアンとバイカー・グループの麻薬流通をめぐる対立が顔を出してくる。しかし、何れにしてもそのグループは少人数のグループで、ひなびた感じで好感が持てるけど。実際にカナダの麻薬を販売しているのがバイカー集団だったり、麻薬の流通がアメリカ側のネイティブから、カナダのネイティブへ渡るということがあったりするのだろう。
 (どうしてここまで残忍なのか?最後の方までわからない)カルト的なグループのリーダー、レイ・ノースウィンド(ブルース・ラムゼイ)が、一度逃したレッドを再び捕まえ、新月の夜に生贄と捧げるという、話自体はありきたりな展開ながら、バイカー集団の参戦や警察内部からの裏切りと怒涛の展開でラストの緊張感は高まる。そして、意外にもにも犠牲者は・・・・あれ?と思うと・・・まさかそっち!@!あーそれだけは・・・という結末が待っている。
 事件自体は既視感のある、ありきたりの内容だが、さすがに作家のジャイルズ・ブラントが用意していたのは、そんな終わり方ではなかったのだ。
 しかし、シーズン3はどうするつもりなのだろう。

シリーズ1「悲しみの四十語」はこちら>>

by 寅松