クロース:孤独のボディーガード<N>

サバの大群と共に敵と戦う ノオミ・ラパスのスーパー・アクション!

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2019年 アメリカ・イギリス カラー スコープ 94分 Westend Films/Netflix Netflixで配信
監督:ヴィッキー・ジューソン 脚本:ヴィッキー・ジューソン、ルパート・ウィテカー
出演:ノオミ・ラパス、ソフィー・ネリッセ、インディラ・ヴァルマ

 『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』でブレイクしたノオミ・ラパスが凄腕のボディガードとして活躍するアクション編。中東の紛争地帯で取材記者をガードするアヴァンタイトル部分は快調で、ほとんど007シリーズと比べても遜色ないぞ、もしかして『ミレニアム〜』のハリウッドリメイク『ドラゴン・タトゥーの女』(11)に主演したダニエル・クレイグに対抗して女007の座を狙っているのかも……と思ったら、万華鏡のようなメインタイトルに2流の歌が流れてきて興ざめに。誰だよこんな寝ぼけた歌選んだのは!(まあ、最近のボンド物も似たりよったりかも、だけど)

 国際的鉱山会社ハシン・マイニングの社長が死に、一人娘のゾーイ(ソフィー・ネリッセ)が後を継ぐことになるが、会社の実権を握っていたのは後妻のリマ(インディラ・ヴァルマ)だった。ボディガードとすぐ寝てしまうヤリマン娘ゾーイを護衛することになった女性ガードマンのサム(ノオミ・ラパス)は、一緒にモロッコの山中にある要塞のような別荘へ移動するが、いきなり刺客に襲われる。からくも脱出してカサブランカに潜伏。警察も信用できない上、どうやらリマと悪徳刑事が通じているらしいことが分かる。2人が再び別荘へ戻ると、そこへリマがヘリコプターでやってきた……

 最初は快調だったのに、どんどん失速していくのは、ヒロインがスーパーウーマンではなく悩みをもつ「人間」として描こう・描きたい・演じたい、という、アクションよりも内容を重視したがる作り手たちにありがちな勘違いが邪魔しているわけで、言葉も通じない国で四方八方敵だらけ(助けに来た味方はすぐ殺される)の四面楚歌状態で、「悩んでる暇もない」状況(ここまでの追い込み方はなかなかいい)のはずなんだが、サムは何度もたばこを吸い、耐えられなくなって泣きだしそうになって震えたりしている。おいおい。
 ガードされる遺産相続娘も、『レオン』のころのナタリー・ポートマンみたいな美少女を期待していたら、なんだかガタイのいいイギリスの田舎町のバーテンみたいな女優だ。なんだか鈍そうで、鈍重で、とにかく冴えない。誰がこんな女キャスティングしたんだ! と思ったら、どうも監督(女性)がこの女とよく似てるんだな、写真を見ると。なるほどー、脚本・監督を務めつつ、自分を投影していたのか。というわけで、ストーリーはシンプルすぎるし、どんでん返しも期待外れ、せっかくの継母役のインド系美女(刑事ジョン・ルーサーの逃げた奥さん!のちに『ゲーム・オブ・スローンズ』で注目されたインディラ・ヴァルマ)の活躍の場が全然ないのも残念でした。さらに悪いいことに、エンディングにまたも主題歌らしき曲が……やめなさいってば。

 結局のところ、見せ場はやはり見慣れないモロッコの風景とノオミ・ラパスのアクションにつきる。悩んでいないところの彼女の動きは相切れ味がある。映像的にも、特によかったのは、漁船の水槽の中で悪徳刑事と戦う場面だ。群れで泳ぐサバ(?)の大群に襲われながら水中で戦うわけで、なかなか画期的に面白く映像も美しかった。中盤にそんなシーンが出てくるので、クライマックスを期待していたら、肩透かし……だったのはなぜだろう。もしかして予算がなくなった? いや、女性監督が「お母さんは子供を大事にしよう」と言いたかっただけなのかもしれない。そりゃそうだろうが、何もこんなアクション映画でそんなこと、何度も言わなくてもいいよ、まったく。

by 無用ノ介

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