日本で有名 (Big in Japan)

ダウンアンダーから来た「おにぎりマン」日本で大冒険の巻

Big in Japan
2018年 オーストラリア・日本 カラー 96分 Journeyman Pictures アマゾンprimeで配信
監督:ラクラン・マクロード、ルイス・ダイ、デヴィッド・エリオット・ジョーンズ
出演:デヴィッド・エリオット・ジョーンズ、ボブ・サップ、レディビアード、ケルシー・パニゴニ、高須克弥

 オーストラリア、たぶんメルボルン。映画監督志望のラクランとカメラマン志望の(多分中国系)ルイスがドキュメンタリーを作ろうと思い立ち、さえない友人デヴィッドが何でもいいから「ビッグ=有名」になる過程を追う、ということで、とりあえず(なぜか)日本へ移住する。
 デヴィッドは東中野でアパートを借りると、英語教師になり、ボブ・サップに会いに行く。外国人専門の芸能プロダクションに登録すると、そのさえない風貌が功を奏してか、テレビの再現ドラマ(NHK!)やCMの仕事が次々と舞い込む。が、仕事はあっても「ビッグ」ではない、とさらなる飛躍を期して「ミスター・ジョーンズ Mr.Jonesu」なるキャラクターを開発、赤ふんどしに、おにぎりのマスクをかぶった「おにぎりマン」となってYou Tubeやツイッターで「ビッグ」になるべく奮闘するが……。

 オーストラリア人だけあって、もちろんビール大好きで、日本での日常生活でもサッポロ黒ラベルやスーパードライの500mm缶をぐびぐび飲んでいる。が、オランダ人のビール・バカが作った『破壊のスタントマン』とは違って、作品は極めて真面目。真剣に「現代社会ににおいて有名になることとは!?」を考察しようとしている。もちろん、バカコメディでもないので、「おにぎりマン」の外見だけに食いついてみた人はがっかりするだろう。

 まあ、構成的にも、せっかくテレビやCMで活躍してるのにユーチューバーへ舵を切ったことで話がおかしな方向へ行ってしまう。NETでやるなら、何も日本でやらなくてもいいわけだし……そのあたりは3人組も気づいていたようで、取材は2013〜14年ごろなのに完成までに4年もかかってしまっている(単に資金が尽きたのかも)。ボブ・サップが「日本で700万ドル儲けた」とか、カナダから来たアイドルが「アイドルは、歌手というよりモデルに近い」などと言いつつ、日本を冷めた目で見ているのが分かるのは面白い。知らない評論家風の白人が日本のアイドル文化を解説していたりするが、デイブ・スペクターあたりに突撃取材ぐらいしてほしかった(多分取材を断られたんだろう)。そして、強烈な個性を放つヒゲ面ロリコン・ファッションのレスラー兼ヘビメタ歌手「レディビアード」が、同じオーストラリアから来た男だったのも、企画がかち合ってしまった感がある。そのあたりで、さっさと「おにぎりマン対レディ・ベアード渋谷でデスマッチ」に企画を切り替えるぐらいの肝の据わった監督ならよかったのだが、いかんせん、仲良し3人組で作っているので、帰国直前の日本最後の夜にセンチメンタルに抱き合ったりするつまらない青春物に堕してしまったのは大変残念。
 ちなみに、妙に日本語がうまいので、そもそも日本行きを考えていたに違いないデヴィッド君は、オーストラリアに戻ってハンバーガー屋をやってるらしい。どう考えても日本で英語教師&タレントやったほうがいいように思えるんだけど……。

P.S. 同じ題名のアメリカ映画(2014年製作)があって、そちらはシアトルの3人組バンドが日本で売れようと奮闘するコメディ。「Big in Japan=日本で売れる」は音楽業界ではよくつかわれる言葉なのだ。オーストラリア版が撮影されたのとほぼ同時期に作られているが、映画祭で話題になりアメリカでも劇場公開された。日本では公開されていないようだが、日本に対してシニカル(すぎる?)な部分があるのかも。面白そうだ。

by 無用ノ介

*/ Hack for Facebook Dispaly